育児時間とは?労働基準法67条

公開: 更新: カテゴリ: 労働基準法

30秒で結論

育児時間とは何か(本質)

条文の趣旨

労働基準法67条は、乳児を育てる女性が、働きながら授乳などの世話をできるようにすることで守っている。

生後満1年に達しない生児を育てる女性は、34条の休憩時間のほか、1日2回各々少なくとも30分、その生児を育てるための時間を請求できる(労働基準法67条1項の要旨)。

核心は 「休憩とは別に、1日2回・各30分以上を、請求により与える」 という設計。授乳や世話のために必要な時間を、通常の休憩に上乗せする形で確保する。母性保護のうち、出産後の働く場面に着目した規定になる。

わかりやすく言い換えると

要するに「乳児を育てる女性は、お昼などの休憩とは別に、世話のための短い時間を1日2回もらえる」。本人が請求して初めて与えられ、自動的に毎日付くわけではない、と押さえると整理しやすい。

試験での位置付け

育児時間は、母性保護の頻出論点。回数と時間(1日2回・各30分以上)、対象が女性であること、請求制、休憩とは別であること、短時間勤務の例外が、横断的に問われる。


なぜ重要か

出題の傾向

育児時間をめぐる出題は、おおむね三つの形に整理できる。

押さえるとどう効くか

ここをつかんでおくと、母性保護の論点が一本につながる。出産前後そのものを保護する 産前産後休業 の先に、出産後の働く場面を支える育児時間があり、妊産婦の労働時間を制限する規定は 年少者の労働時間規制 と並ぶ柱になる。原則となる 法定労働時間 の枠の中で、休憩に上乗せして時間を確保する構造、と押さえると定着する。

関連論点との接続

育児時間は、複数の論点と接続している。

「出産後も働きながら育てられるように」という流れの中で、67条は母性保護の一翼を担っている。


詳細解説

育児時間は、三つの軸 で分解すると整理しやすい。第1軸「基本要件(回数・時間・対象・請求制)」、第2軸「運用の細部(短時間勤務・付与時刻・賃金)」、第3軸「隣接制度との区別」。順に押さえれば、数値問題も区別問題も落ち着いて解ける。

ポイント1: 誰が何回取れるのか ── 1日2回・各30分以上・女性・請求制

育児時間の基本の要件を押さえる。

育児時間の基本要件

区分内容
対象(67条1項)生後満1年に達しない生児を育てる女性
回数・時間1日2回、各々少なくとも30分
性質請求制。請求しなければ当然には付与されない
休憩との関係34条の休憩時間のほかに与える(別枠)
使用禁止(67条2項)使用者は育児時間中その女性を使用してはならない

ポイントは、「1日2回・各々少なくとも30分」「対象は女性」「請求制」「休憩とは別」 の四点。合計60分を1回でまとめてよいわけではなく、回数と1回あたりの最低時間が定められている。対象は条文上「女性」で、男性労働者は労基法67条の育児時間の対象ではない。本人の請求があって初めて与えられる。

ポイント2: 実際の運用はどうなるのか ── 短時間勤務は1回・付与時刻は自由・賃金は定めによる

実際の運用にかかわる細部を押さえる。

育児時間の運用の細部

短時間勤務1日の労働時間が4時間以内なら1日1回で足りる(行政解釈)
付与時刻必ず労働時間の途中に置く必要はなく、始業・終業に接して与える運用も可
賃金労基法上は有給義務なし。有給・無給は当事者の定めによる
「生児」実子に限らず養子も含む
期間生後満1年に達しない間(1歳到達前まで)

ここは 「4時間以内勤務は1日1回」「付与時刻は当事者に委ねられる」「賃金は定めによる」 という細部を取り違えないのが要。通常の勤務を想定した規定のため、1日の労働時間が4時間以内なら1日1回で足りるとされる。育児時間をいつ与えるかは当事者間に委ねられ、始業・終業に接して与えることも排除されない。賃金は労基法67条には有給とする規定がなく、就業規則等で有給と定めればそれに従う。

ポイント3: 似た制度とどう違うのか ── 産前産後・妊産婦の時間・育児休業と分ける

似た制度との違いを押さえる。

隣接制度との区別

制度整理
産前産後休業(65条)出産前後そのものの就業制限・休業
妊産婦の労働時間等(66条)妊産婦の請求による時間外・深夜業等の制限
育児時間(67条)出産後、生児を育てる女性の1日2回各30分の時間
育児休業(育児・介護休業法)労基法67条とは別制度。対象・手続・期間が異なる
罰則67条違反は119条の罰則の対象(罰金30万円以下等)

ポイントは、育児時間は出産後の働く場面の保護で、産前産後休業や育児休業とは別 であること。産前産後休業は出産前後の就業を制限する制度、妊産婦の労働時間等は請求による時間外等の制限。育児・介護休業法の育児休業は労基法67条とは別の休業制度で、対象・手続・期間が異なる。育児時間は、これらと並びつつ独立した制度として位置づけられる。

ポイント4: 哲学コラム ── 育児時間が映す「働くことと育てることを両立させる設計」

育児時間という制度は、単なる時間の付与ではなく、「働くことと育てることを、二者択一にしない」という設計思想 を映している。法は休憩とは別に時間を確保し、回数と最低時間を定めて、世話に必要な分が薄められないようにした。請求制にして本人の意思を尊重しつつ、その時間中は使用してはならないと定めて実効性を持たせている。働く場面でも育てる場面でも本人を主役に置く ── どれも「育てる時間が、働くことと引き換えに大きく揺らがない」ことを支えるための仕組みだ。シカクエが「仕組みで攻略する」と伝えているのは、こうした趣旨ごと理解すると、暗記が記憶として根づき、応用が利くようになるからだ。

育児時間の総整理

ここまでを整理する。第1に基本要件(1日2回・各30分以上・女性・請求制・休憩と別)、第2に運用の細部(4時間以内は1回・付与時刻は自由・賃金は定めによる)、第3に隣接制度との区別(産前産後・妊産婦の時間・育児休業と分ける)。この軸を順に当てはめれば、育児時間の問題は安定して解ける。


よくある間違い・注意点

間違いパターン1: 「育児時間は合計60分を1回でまとめてよい」

これは誤り。労働基準法67条1項は、1日2回、各々少なくとも30分と定める。合計時間だけを覚えると、回数と1回あたりの最低時間を取り違える。2回に分けて各30分以上、と押さえる。

間違いパターン2: 「育児時間は男性労働者も労基法67条で請求できる」

これも誤り。労働基準法67条の育児時間は、条文上「女性」を対象とする。男性労働者は労基法67条の育児時間の対象ではない。育児・介護休業法の育児休業など別制度とは区別する。

育児時間は1日2回・各々少なくとも30分、対象は女性、請求制、34条の休憩とは別枠。4時間以内勤務は1日1回で足り、賃金は労基法上は定めによる。産前産後休業・妊産婦の労働時間等・育児休業とは別制度。「合計60分を1回で可」「男性も労基法67条で請求できる」「休憩時間に含めてよい」はいずれも誤り。

間違いパターン3: 「育児時間は必ず労働時間の途中に与えなければならない」

これも誤り。育児時間をいつ与えるかは当事者間に委ねられており、必ず労働時間の途中に置く必要はない。始業・終業に接して与える運用も排除されない。

似た用語との違い

産前産後休業 は、出産前後そのものの就業を制限・休業させる制度。育児時間は、出産後に働きながら生児を育てるための時間を確保する制度。休業が「働かせない期間の確保」、育児時間が「働く中での時間の確保」── 役割が違う、と並べて押さえると混ざらない。


試験での出題パターン

完全自作のオリジナル問題で確認する。過去問そのままではない。

オリジナル問題1(基本論点)

📝 オリジナル問題 1 基本論点

労働基準法67条の育児時間に関する次の記述のうち、正しいものはどれか。

  1. 育児時間は合計60分を1回にまとめて与えれば足りるものとされる
  2. 育児時間は34条の休憩時間に含めて与えてよいものとされている
  3. 生後1年未満の生児を育てる女性は1日2回各30分以上請求できる
  4. 育児時間は請求がなくても当然に毎日自動で付与されるものとされる
ロウミーア
ロウミーア 解答・解説

解答は 3 だっ。

回数・時間・請求制の基本を問う基本論点なんだっ。

選択肢判定理由
11日2回各30分以上だっ
2休憩とは別枠なんだっ
32回各30分以上を請求だっ
4請求制で自動ではないっ

1日2回・各30分以上——ここを固めるのが第一歩だっ!

オリジナル問題2(応用論点)

📝 オリジナル問題 2 応用論点

育児時間の運用に関する次の記述のうち、正しいものはどれか。

  1. 育児時間中の賃金は労基法上必ず有給としなければならないとされる
  2. 1日の労働時間が4時間以内なら1日1回で足りる行政解釈がある
  3. 育児時間は必ず労働時間の途中に与えなければならないものとされる
  4. 育児時間の対象となる生児には養子は一切含まれないものとされる
セーフビーバ
セーフビーバ 解答・解説

解答は 2 だよ。

短時間勤務・付与時刻・賃金の細部を問う応用論点なんだ。

選択肢判定理由
1労基法上は定めによるよ
24時間以内は1回で足りる
3付与時刻は当事者次第だね
4生児は養子も含むんだよ

細部は条件で見る——中身で見るのがコツだね。

オリジナル問題3(特殊論点:隣接制度との区別)

📝 オリジナル問題 3 特殊論点:隣接制度との区別

育児時間と隣接制度に関する次の記述のうち、正しいものはどれか。

  1. 育児・介護休業法の育児休業は労基法67条の育児時間と同一制度である
  2. 育児時間は産前産後休業の一部として出産前から与えられるとされる
  3. 育児時間は妊産婦の時間外労働の制限と全く同じ規定であるとされる
  4. 育児時間は出産後に生児を育てる女性の働く場面を支える制度である
ロウタイテイ
ロウタイテイ 解答・解説

解答は 4 である。

隣接制度との区別を問うものである。

選択肢判定理由
1育児休業は別制度である
2産前産後とは別である
366条とは別の規定である
4出産後の働く場面の保護である

別制度として分けると押さえるのが肝要である。


まとめ

育児時間は、出産後に働きながら生児を育てられるようにするルール。基本要件(1日2回・各30分以上・女性・請求制・休憩と別)、運用の細部(4時間以内は1回・付与時刻は自由・賃金は定めによる)、隣接制度との区別(産前産後・妊産婦の時間・育児休業と分ける)── この三軸を押さえれば、数値問題も区別問題も安定して解ける。

押さえどころ3つ

  1. 基本: 生後満1年未満の生児を育てる女性が、休憩のほか1日2回各30分以上を請求できる(67条)
  2. 細部: 4時間以内勤務は1日1回で足りる/付与時刻は当事者に委ねられる/賃金は労基法上は定めによる
  3. 区別: 産前産後休業・妊産婦の労働時間等・育児・介護休業法の育児休業とは別制度

次に学ぶべき関連用語

育児時間をつかんだら、出産前後の保護である 産前産後休業 と、妊産婦の労働時間を重ねる 法定労働時間 を読み直すと、出産前後から復帰後までの流れがつながる。あわせて 年少者の労働時間規制 を確かめると、年少者・女性の保護の全体像が立体的になる。

論点を一つずつ積み上げれば、見える景色は確かに変わっていく。育児時間は母性保護の一翼。ここを越えれば、産前産後休業や妊産婦の労働時間の論点が順につながって見えてくる。

学習の進め方の目安

育児時間を自分のものにできたかは、次の三つの問いで確かめられる。「1日2回・各30分以上と請求制を述べられるか」「4時間以内勤務の例外と付与時刻の扱いを説明できるか」「産前産後休業や育児休業との違いを区別できるか」。即答できなければ、該当のセクションに戻ればいい。戻ることは後退ではなく、定着への近道になる。


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