保険外併用療養費とは(全体像)
健康保険では、保険のきく治療(保険診療)ときかない治療(保険外診療)を同時に受ける「混合診療」は原則禁止。原則どおりなら、保険外の治療を混ぜた時点で、保険のきく分まで含めて全額が自費になってしまう。
そこで、決められた医療に限って併用を認め、保険診療にあたる部分だけは保険から給付するのが保険外併用療養費。
押さえるのは、認められる範囲が3類型に限られること。
- 評価療養 … 先進医療など、将来の保険入りを評価している段階の医療。
- 選定療養 … 差額ベッドなど、患者が自分で選ぶ上乗せサービス。
- 患者申出療養 … 患者の申出を起点に、国の審査を経て行う医療。
詳しく:この表だけ覚えれば戦える
ここが記事の心臓部。保険外併用療養費の中身は、次の2つの表に全部つまっている。
まず、お金の出方。これが一番問われる。
給付のしくみ(二段構え)
| 部分 | 扱い |
|---|---|
| 保険診療にあたる部分 | 保険外併用療養費として給付される(窓口では通常どおり一部負担金がかかる) |
| 保険外の部分(先進医療費・差額ベッド代など) | 全額自己負担(給付されない) |
つまり患者の負担は「保険診療部分の一部負担金 + 保険外部分の全額」という二段構え。保険外の部分まで給付されると取り違えやすいので、ここを固める。
次に、3類型の中身。
3類型の中身
| 類型 | 中身 | 代表例 |
|---|---|---|
| 評価療養 | 将来の保険入りに向けて有効性・安全性を評価中の医療 | 先進医療(陽子線治療など) |
| 選定療養 | 患者が選ぶ上乗せサービス | 差額ベッド・予約診療・時間外診療・200床以上の病院を紹介状なしで受診したときの特別料金 |
| 患者申出療養 | 患者の申出を起点に、国の審査を経て未承認薬などを使う医療 | 未承認の薬・医療機器を使う治療 |
ポイントは、患者申出療養は患者の申出だけで自動的に始まるのではなく、国の審査を経て実施されること。また、患者申出療養が加わって今の3類型になっている(評価療養・選定療養の2類型だけではない)。
わかりやすく言い換えると
要するに、こうイメージするとラク。
評価療養は「もうすぐ保険入りする見込みの新しい医療」、選定療養は「患者が自分で選ぶ快適さ・便利さの上乗せ」、患者申出療養は「患者が手を挙げて国の審査を通す医療」。
お金は「保険のきく分は保険から・きかない分は丸ごと自腹」。
試験のツボ
🔴 一番出る:お金の二段構え
①保険診療にあたる部分 = 給付される(一部負担金はかかる)
②保険外の部分(先進医療費・差額ベッドなど) = 全額自己負担
🔴 次に出る:3類型の中身
①評価療養 = 先進医療など(将来の保険入りを評価中)
②選定療養 = 差額ベッドなど(患者が選ぶ上乗せ)
③患者申出療養 = 患者の申出+国の審査
🟡 押さえると安定:混合診療は原則禁止、その例外がこの3類型。だから「混合診療は自由」「例外は2類型だけ」はどちらも誤り。
よくある間違い
①「先進医療費や差額ベッド代も保険給付される」→ ✗ 給付されるのは保険診療にあたる部分だけ。保険外の部分は全額自費。
②「例外は評価療養と選定療養の2類型だけ」→ ✗ 患者申出療養を入れた3類型。
③「患者申出療養は患者が申し出れば直ちに受けられる」→ ✗ 国の審査を経てから実施される。
試験での出題パターン
実際の問題でたしかめてみよう。
オリジナル問題1(給付の範囲)
保険外併用療養費の給付に関する次の記述のうち、正しいものはどれか。
- 保険外併用療養費では、保険診療にあたる部分が給付され、保険外の部分は全額自己負担となる
- 保険外併用療養費では、先進医療費や差額ベッド代などの保険外部分も含め全額が給付される
- 保険外併用療養費では、保険外診療を併用した時点で保険診療部分も含め全額が自己負担になる
- 保険外併用療養費では、保険外の部分のみが給付され、保険診療にあたる部分は全額自費になる
解答は 1 だよ。
給付されるのは保険診療にあたる部分だけ。その部分には通常どおり一部負担金がかかって、残りが保険外併用療養費として給付されるんだ。先進医療費や差額ベッド代などの保険外部分は全額自己負担。「保険分は給付・保険外は全額自費」の二段構えで押さえてね。
| 選択肢 | 判定 | 理由 |
|---|---|---|
| 1 | ✓ | 保険診療部分を給付・保険外は全額自費 |
| 2 | ✗ | 保険外部分は給付されず全額自費 |
| 3 | ✗ | 例外なので全額自費にはならない |
| 4 | ✗ | 給付されるのは保険診療部分のほう |
オリジナル問題2(3類型)
保険外併用療養費の類型に関する次の記述のうち、正しいものはどれか。
- 保険外併用療養費の類型は、評価療養と選定療養のみの2類型に限られるものとされている
- 保険外併用療養費の類型は、先進医療と差額ベッドのみの2類型に限られるものとされている
- 保険外併用療養費の類型は、評価療養・選定療養・患者申出療養の3類型とされている
- 保険外併用療養費の類型は、患者申出療養のみの1類型に限られるものとされている
解答は 3 である。
保険外併用療養費の類型は、評価療養・選定療養・患者申出療養の3つである。評価療養は先進医療など、選定療養は差額ベッドなど、患者申出療養は患者の申出を起点とする医療である。「評価・選定・申出」の3つをそろえて押さえるのが要である。
| 選択肢 | 判定 | 理由 |
|---|---|---|
| 1 | ✗ | 患者申出療養を入れた3類型 |
| 2 | ✗ | 先進医療・差額ベッドは評価療養・選定療養の例 |
| 3 | ✓ | 評価・選定・患者申出の3類型 |
| 4 | ✗ | 患者申出療養だけではない |
オリジナル問題3(患者申出療養)
患者申出療養に関する次の記述のうち、正しいものはどれか。
- 患者申出療養は、患者が申し出ればその場で直ちに受けられ、国の審査は要しないものとされる
- 患者申出療養は、患者の申出を起点とし、国の審査を経て実施される医療として位置づけられる
- 患者申出療養は患者が選ぶ上乗せサービスを指し、差額ベッドや予約診療などがこれにあたる
- 患者申出療養では、申し出た医療にかかった費用の全額が保険から給付されるものとされている
解答は 2 だっ。
患者申出療養は、患者の申出を起点にしながらも、国の審査を経て実施される医療なんだっ。申し出ればすぐ受けられるわけではない点がポイントだっ。差額ベッドなどの上乗せサービスは選定療養のほうで、給付されるのも保険診療にあたる部分だけだっ!
| 選択肢 | 判定 | 理由 |
|---|---|---|
| 1 | ✗ | 国の審査を経て実施される |
| 2 | ✓ | 患者の申出+国の審査 |
| 3 | ✗ | 上乗せサービスは選定療養 |
| 4 | ✗ | 給付は保険診療部分だけ |
まとめ
押さえどころ
- 🔴 お金の二段構え = 保険診療にあたる部分は給付(一部負担金あり)・保険外の部分は全額自己負担。
- 🔴 3類型 = 評価療養(先進医療など)・選定療養(差額ベッドなど)・患者申出療養(申出+国の審査)。
- 🟡 混合診療は原則禁止。その例外がこの3類型で、「2類型だけ」ではない。
次に学ぶ
- 療養の給付 ── 保険診療を現物給付する原則的なしくみ。保険外併用療養費はその例外、という対比で押さえると混ざらない。
- 一部負担金 ── 窓口で払う自己負担の割合。保険外併用療養費でも保険診療部分にはこれがかかる。
- 高額療養費 ── 自己負担が一定額を超えたときに払い戻されるしくみ。
執筆: SikakuQuest編集部