【社労士の実務】労働条件通知書、書面明示の抜けはない?──労働時間の条件をチェックする
先輩から、労働条件通知書の下書きを渡されて言われる。
「この通知書、労働基準法で書面での明示が義務づけられているのに、抜けている項目があるよ。どこか分かる?」
下書きにはこう書かれている。
1. 契約期間 … 期間の定めなし
2. 就業の場所 … 王都本部
3. 従事すべき業務 … 受付および事務
4. 賃金 … 月給20万円
社労士の試験では「労働条件の明示」は頻出。覚えた明示事項が力になるのは、こうして書面から"抜け"を見抜けたときだ。この記事では、抜けを見つける視点を整理する。
まず結論:抜けているのは「労働時間に関する条件」
賃金までは書けている。だが、始業・終業の時刻、休憩時間、休日といった、労働時間に関する条件の明示が抜けている。
いつからいつまで働き、いつ休むのかは、働く人の生活に直結する基本事項。これらは労働基準法で、契約時に書面などで明示することが義務づけられた「絶対的明示事項」だ。賃金だけ書いて安心してはいけない、というのがこの下書きの落とし穴になっている。
プロならこう指摘する
「4.賃金」までは書かれていますが、始業・終業の時刻、休憩時間、休日といった労働時間に関する条件の明示が抜けています。
これらは労働基準法15条で、契約時に書面などで明示することが義務づけられた絶対的明示事項です。いつからいつまで働くのかは生活に直結するため、口頭ではなく書面で明確に示す必要があります。
あわせて、退職に関する事項の記載も確認したいところです。
絶対的明示事項の主なもの
書面で明示すべき主な項目(絶対的明示事項)は、大きく次のとおり。チェックの目安として持っておくとよい。
- 契約期間に関する事項
- 就業の場所・従事すべき業務
- 始業・終業の時刻、休憩、休日など労働時間に関する事項
- 賃金の決定・計算・支払方法など
- 退職に関する事項(解雇の事由を含む)
「賃金は書いたか」だけでなく「労働時間と退職まで揃っているか」で見ると、抜けに気づきやすい。
この場面で効いている社労士の知識
- 根拠条文:労働基準法 第15条(労働条件の明示)
- 絶対的明示事項:契約期間・就業場所と業務・労働時間・賃金・退職に関する事項など
- 方法:一定の重要な事項は書面などで明示する
「絶対的明示事項を暗記する」ことが、そのまま「通知書の抜けを見抜く目」になっている。
自分でやってみる
学習アプリ「シカクエ」の実務クエストでは、この通知書の下書きから抜けを自分で指摘して採点を受けられる(架空の練習用)。何が足りないかを理由まで添えて説明できるか、試してみると理解が深まる。