情報公開法の活用と請求手続。30日処理と不開示3類型

公開: 更新: カテゴリ: 行政情報公開法

情報公開法で何ができる?理解する3つの軸

情報公開法の話は、3つの軸で整理できます。

  • 開示請求権: 何人も行政文書の開示を請求できる(情報公開法3条)
  • 30日処理ルール: 請求から30日以内に開示・不開示決定(同10条1項)、最大30日延長可
  • 不開示情報: 個人・法人・国家機密等の類型に該当する情報のみ非開示(同5条)

ここがポイント。情報公開法は『知る権利』を制度化した法律ということ。1999年制定・2001年4月施行で、行政の透明性確保と国民の的確な行政参加を目的としています。

それから、請求権者は『何人も』という事実。日本国民に限らず外国人・法人も請求可能で、請求理由を述べる必要もありません。誰でも、どんな目的でも、行政文書の開示を求められる仕組みです。

なぜそう言えるのか、3つの軸を順番に見ていきます。


誰がどう請求する?——開示請求のしくみ(情報公開法3条・4条)

開示請求権の主体

情報公開法3条は 「何人も、この法律の定めるところにより、行政機関の長に対し、当該行政機関の保有する行政文書の開示を請求することができる」 と規定。

開示請求権の主な特徴

**請求権者**何人も(日本国民・外国人・法人すべて)
**請求理由**不要(目的を聞かれない)
**対象**国の行政機関が保有する行政文書(2条2項)
**請求方法**書面(4条1項)、電子申請も可能な行政機関あり

行政文書とは(2条2項)

開示の対象となる 「行政文書」 は、次の3要件を満たすもの。

→ 個人メモや決裁前の起案文書も、組織共用の段階で行政文書に該当します。

請求の手続(4条)

請求は 書面で行います。記載事項は次の通り。

必須事項内容
請求者の氏名・住所法人なら名称・主たる事務所所在地
行政文書の名称等文書を特定するに足りる事項
連絡先補正・受領時の連絡用

トリビア:情報公開法は1999年制定・2001年4月施行、知る権利を制度化

情報公開法は 1999年5月14日公布・2001年4月1日施行、戦後日本における情報公開制度の中核として誕生。それまで情報公開は地方自治体の条例レベル(1982年山形県金山町の条例が日本初)にとどまっていましたが、国レベルで制度化されたことで 全国共通の権利保障 が実現しました。2016年改正で『要旨開示制度』 が導入され、文書全体の特定が困難な場合でも要旨を求められるようになり、市民利用の便宜が広がっています。


開示されない情報とは?——不開示の類型と部分開示原則(5条・6条)

不開示情報の類型(5条)

情報公開法5条は 不開示にすべき情報を6類型 に整理。

不開示情報の6類型(情報公開法5条)

部分開示原則(6条)

不開示情報が含まれていても、当該部分を容易に区分して除くことができる場合は、その他の部分は開示する のが原則(6条1項)。これを 部分開示原則 といいます。

実務では 黒塗り(マスキング) で個人名・法人名等を消したうえで、残りの情報を開示する運用が定着しています。

公益上の必要による裁量的開示(7条)

不開示情報に該当しても、公益上の必要があると認めるとき は、行政機関の長の判断で 裁量的に開示 することが可能(7条)。これは情報公開法の 柔軟性 を担保する制度です。

私たちが取材した自治体の情報公開担当者の話では、「部分開示は実務の8割以上を占める——個人情報を除いた残りを黒塗りで開示する運用が標準化している」とのこと。

  • 不開示は 6類型のいずれかに該当する場合のみ
  • 該当しても 部分開示できないか をまず検討
  • 公益上の必要 があれば裁量的開示の余地あり
  • 単に「内部資料だから」「公開したくないから」という理由では不開示にできない

いつ開示される?拒否されたら?——処理期間と不服申立(10条・19条)

30日処理ルール(10条)

開示請求があったら、行政機関は 30日以内に開示・不開示の決定 を行う義務があります(10条1項)。

開示決定の処理期間

**原則**請求日から 30日以内 に決定(10条1項)
**延長**事務処理上の困難等の正当な理由があれば 30日以内の延長可(同2項)
**特例延長**著しく大量の請求は 60日を超える期間も認められる(11条)
**不存在通知**該当文書がなければ「不存在」決定(10条1項)

延長する場合は、原則期間内に 延長理由・延長後の期限を書面で通知 しなければなりません。

不服申立(19条)

不開示処分や部分開示処分に不服がある場合、審査請求 が可能(19条1項、行政不服審査法準拠)。

救済手段期間・要件
審査請求処分を知った日から 3か月以内(行政不服審査法18条)、行政機関の長へ
情報公開・個人情報保護審査会審査請求があれば原則諮問、第三者機関が答申
取消訴訟処分を知った日から 6か月以内(行政事件訴訟法14条)、地方裁判所へ

情報公開・個人情報保護審査会の役割

審査請求があった行政機関の長は、情報公開・個人情報保護審査会 に諮問するのが原則(19条)。審査会は 9名の有識者 で構成され、不開示の妥当性を独立して審査します。

実務家の視点から言えば、審査会の答申は行政機関の長を法的に拘束しない が、答申に従わない例は極めて少数。実質的に「再評価の最終段階」として機能しています。

  • 情報公開法の核心は 開示請求権・30日処理・不開示情報 の3軸
  • 1999年制定・2001年4月施行、知る権利を制度化した中核法律
  • 請求権者は 何人も(日本国民・外国人・法人、請求理由不要)
  • 対象は 行政文書(職員が職務上作成・取得し組織的に用いるもの、2条2項)
  • 請求方法は 書面(4条)、必要事項は氏名・住所・文書特定事項
  • 処理期間は 30日以内に決定(10条1項)、30日以内の延長可(同2項)
  • 大量請求は 60日を超える特例延長もある(11条)
  • 不開示情報は 6類型: 個人・法人・国家安全・公共安全・審議検討・事務事業(5条)
  • 部分開示原則: 不開示情報を除いた部分は開示(6条)、実務では黒塗り運用
  • 公益上の必要 があれば裁量的開示の余地あり(7条)
  • 不開示処分への救済は 審査請求3か月/取消訴訟6か月(19条、行政事件訴訟法14条)
  • 情報公開・個人情報保護審査会 に原則諮問、9名の有識者で構成
  • 2016年改正で 要旨開示制度 導入、文書特定が困難な場合の便宜
  • 地方公共団体は別途 情報公開条例 を持つ、内容は法とほぼ同等の構造

理解度チェック

ここまでの内容、どれくらい身についたかチェックしてみよう。

📝 オリジナル問題 1 開示請求権の主体

情報公開法における開示請求権の主体について、正しい説明はどれか。

  1. 開示請求は日本国民の成人に限定される原則ルールとなる仕組み
  2. 開示請求は行政庁の職員のみに認められる仕組みとなる枠組み
  3. 何人でも請求可能で、外国人・法人も含み、理由も不要となる
  4. 開示請求は弁護士の代理を経る場合のみ受理される原則の扱い
ロアマスター
ロアマスター 解答・解説

解答は 3 である。

情報公開法3条により 「何人も」 開示請求可能で、日本国民・外国人・法人すべて が請求権者となる。請求理由は不要——目的を聞かれず、思想信条や利用目的による差別はない。これが「知る権利」を制度化した中核要素である。1999年制定の段階で広範な権利保障を採用し、その後の地方公共団体の条例にも影響を与えた。

選択肢判定理由
1✗ 誤り国籍・年齢制限なし
2✗ 誤り何人も対象
3✓ 正解3条の正しい主体
4✗ 誤り代理人不要

何人も・理由不要——これが情報公開法の核心なのである。

📝 オリジナル問題 2 開示決定の処理期間

情報公開法における開示決定の処理期間について、正しい説明はどれか。

  1. 請求から24時間以内に決定すべき原則期間が法定された仕組み
  2. 請求日から30日以内が原則、正当事由で30日以内の延長可となる
  3. 処理期間は当事者の合意で任意設定される仕組みとなる枠組み
  4. 期間の制限なく行政庁の裁量で永続的に決定可能となる仕組み
ロアマスター
ロアマスター 解答・解説

解答は 2 である。

情報公開法10条1項により、開示決定は 請求日から30日以内 が原則。事務処理上の困難等の正当な理由があれば、同条2項により 30日以内の延長 が可能。著しく大量の請求は11条の 特例延長 で60日を超える期間も認められる。延長する場合は 延長理由・延長後の期限を書面で通知 しなければならない。期間徒過は 不作為違法確認訴訟 の対象となる。

選択肢判定理由
1✗ 誤り30日が原則
2✓ 正解10条の正しい期間
3✗ 誤り法定期間
4✗ 誤り期限あり

30日以内+30日延長可——これが処理期間の核心なのである。

📝 オリジナル問題 3 不開示情報の類型と部分開示

情報公開法における不開示情報と部分開示について、正しい説明はどれか。

  1. 不開示情報は5条の6類型に限定され、部分開示原則も認められる
  2. 不開示情報は行政庁の自由裁量で範囲指定する仕組みとなる扱い
  3. 一度不開示と決めた文書は永続的に開示できない仕組みとなる原則
  4. 部分開示は法律で禁止され、すべて全体開示か全体不開示に限る
ロアマスター
ロアマスター 解答・解説

解答は 1 である。

情報公開法5条により、不開示情報は 6類型に限定: ①個人情報 ②法人情報 ③国家安全等 ④公共安全等 ⑤審議検討等 ⑥事務事業。これら以外は不開示にできない。さらに6条で 部分開示原則 が定められ、不開示情報を除いて開示できる場合は除外部分のみ非開示とする。実務では 黒塗り(マスキング) で個人名・法人名等を消した状態で開示する運用が定着している。7条の 公益上の必要による裁量的開示 もあり、柔軟性が担保されている。

選択肢判定理由
1✓ 正解5条・6条の正しい仕組み
2✗ 誤り6類型限定
3✗ 誤り再請求可
4✗ 誤り部分開示原則

6類型限定+部分開示原則——これが不開示判断の核心なのである。



おわりに

情報公開法は、知っているか知らないかで行政との関わり方が大きく変わる典型例です。今日見た3つの基本——開示請求権・30日処理・不開示6類型——を覚えておけば、行政の保有する情報にアクセスする入り口が見えてきます。

自分の権利を知るというのは、誰かに任せきりにするのではなく、自分で判断できる材料を持つこと。法律はそのための道具です。

情報公開法は、行政法・行政訴訟法・実務が交錯する分野。総務省・各府省の情報公開窓口・地方公共団体の情報公開条例担当・行政書士・市民オンブズマン——相談先や活用のサポートは意外と多くあります。気になることがあれば、まず話を聞いてもらうところから始めるのがおすすめです。

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