線形代数(行列)とは?|基本情報技術者試験で押さえる本質をやさしく解説

公開: 更新: カテゴリ: テクノロジ系

30秒で結論

線形代数(行列)とは(全体像)

行列は、数を「m行n列」の表のかたちに並べたもの。たとえば3つの数を縦に並べたり、数字を格子状にびっしり置いたりして、多くの数を1つのかたまりとして扱う。

なぜ便利かというと、たくさんの数の計算を一度にまとめてできるから。AI(ニューラルネット)のたくさんの重み、3Dゲームの座標変換などは、行列の計算でいっぺんに処理している。

押さえるのは、行列ならではの2つのクセ。


詳しく:かけ算の順番と逆行列だけ覚えれば戦える

ここが記事の心臓部。まずは行列の演算

行列の基本演算

演算ルール
足し算・引き算同じ形(同じ行数・列数)どうしだけ
かけ算(積)左の列数と右の行数が一致するときだけできる
かけ算の順番AB と BA は一般に別もの(順番が大事)

いちばん大事なのが、かけ算の順番。ふつうの数なら3×5=5×3だが、行列ではAB≠BAが普通。順番を入れ替えると答えが変わる(そもそも計算できないこともある)。ここが試験の狙い目だ。

次に、割り算にあたる逆行列

逆行列が作れる条件

項目内容
逆行列とはかけると単位行列(1にあたるもの)になる相棒
作れる条件行列式が0でないときだけ作れる
行列式が0なら逆行列は作れない

逆行列は、数でいう「逆数(割り算)」にあたるもの。ただし、どんな行列でも作れるわけではない。「行列式」という値が0でないときだけ逆行列が存在する。行列式が0だと逆行列はない——ここが頻出ポイントだ。

このほか、`Av=λv`を満たす特別な値(固有値)とベクトル(固有ベクトル)があり、AIの主成分分析などで使われる、と押さえておけばいい。

わかりやすく言い換えると

要するに、行列は「数を並べた表をひとかたまりで計算する道具」だ。

かけ算の順番 … 「服を着てから出かける」と「出かけてから服を着る」が違うように、AB と BA は別の操作。順番が結果を変える。

逆行列 … 「もとに戻す操作」。でも、つぶれて情報が消えた変換(行列式が0)は、もとに戻せない。だから逆行列が作れない、というわけだ。

つまり、行列は「順番に敏感」で「つねに逆戻りできるわけではない」——この2点が数のかけ算との大きな違いだ。


試験のツボ

🔴 一番出る:かけ算は順番が大事(AB≠BA)

①行列のかけ算は順番を入れ替えると結果が変わる

②ふつうの数(3×5=5×3)とはここが違う

🔴 次に出る:逆行列が作れる条件

①逆行列はかけると単位行列になる相棒

②行列式が0でないときだけ作れる(0なら作れない)

🟡 押さえると安定:応用と固有値

①AI(ニューラルネット)・3D変換・データ解析で使う

②Av=λvの固有値・固有ベクトルは主成分分析などで使う


よくある間違い

「行列のかけ算は順番を変えても同じ(AB=BA)」→ ✗  行列では一般にAB≠BA。順番で結果が変わる。

「どんな行列にも逆行列がある」→ ✗  行列式が0でない(正則な)行列だけ。0なら逆行列はない。

「行列は1つの数のことで、表の形ではない」→ ✗  行列は数を縦横の表に並べたもの。


試験での出題パターン

実際の問題でたしかめてみよう。

オリジナル問題1(かけ算の順番)

📝 オリジナル問題 1 行列のかけ算

行列のかけ算(積)に関する次の記述のうち、正しいものはどれか。

  1. 行列のかけ算はふつうの数と同じで、ABとBAはつねに等しい結果になる
  2. 行列のかけ算は足し算と同じ手順で、要素ごとにそのまま掛け合わせればよい
  3. 行列のかけ算は順番で結果が変わり、ABとBAは一般に別ものになる
  4. 行列のかけ算はどんな形の行列どうしでも、制限なくつねに計算できる
シーピードラ
シーピードラ 解答・解説

解答は 3 だぜ。

行列のかけ算は順番で結果が変わり、ABとBAは一般に別ものだ。ふつうの数(3×5=5×3)と違って、順番に敏感なのが行列のクセだな。

選択肢1は「つねに等しい」が誤り。選択肢2は「要素ごとにそのまま掛ける」が誤り(積のルールは別)。選択肢4は「制限なく計算できる」が誤りで、形が合わないとかけられないぜ。

選択肢判定理由
1AB≠BAが一般
2要素ごとの掛け算ではない
3順番で結果が変わる
4形が合わないと計算できない

オリジナル問題2(逆行列の条件)

📝 オリジナル問題 2 逆行列が作れる条件

逆行列に関する次の記述のうち、正しいものはどれか。

  1. 逆行列は行列式が0でない行列にだけ存在し、0のときは作ることができない
  2. 逆行列はどんな行列にも必ず存在し、行列式の値とは無関係に作れるものだ
  3. 逆行列は行列式がちょうど0のときにだけ作ることができる行列のことである
  4. 逆行列は足し算をもとに戻す操作で、かけ算とはまったく関係がないものだ
シーピードラ
シーピードラ 解答・解説

解答は 1 だぜ。

逆行列は行列式が0でないときだけ作れる。行列式が0だと逆行列は存在しない。逆行列はかけると単位行列(1にあたるもの)になる相棒だ。

選択肢2は「どんな行列にも必ず存在」が誤り。選択肢3は「行列式が0のとき作れる」が逆。選択肢4は「足し算をもとに戻す」が誤りで、逆行列はかけ算に関わるぜ。

選択肢判定理由
1行列式が0でないときだけ存在
2どんな行列にもあるわけではない
30のときは作れない
4かけ算に関わる操作

オリジナル問題3(応用)

📝 オリジナル問題 3 行列の応用

行列の応用に関する次の記述のうち、正しいものはどれか。

  1. 行列は数学の理論だけのもので、コンピュータの実務で使われることはない
  2. 行列は文章を圧縮する専用の道具で、数値の計算には用いられないものである
  3. 行列は1つの数しか入らないため、複数のデータをまとめて扱うことはできない
  4. 行列はAIの計算や3Dグラフィックスの座標変換など、実務で広く使われる
シーピードラ
シーピードラ 解答・解説

解答は 4 だぜ。

行列はAIの計算(ニューラルネット)や3Dグラフィックスの座標変換など、実務で広く使われている。たくさんの数をまとめて計算できるのが強みだ。

選択肢1は「実務で使われない」が誤り。選択肢2は「文章圧縮専用」が誤り。選択肢3は「1つの数しか入らない」が誤りで、行列は多くの数をまとめて扱えるぜ。

選択肢判定理由
1実務で広く使われる
2文章圧縮専用ではない
3多くの数をまとめて扱える
4AI・3D変換などで活躍

まとめ

押さえどころ

次に学ぶ


執筆: SikakuQuest編集部

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