生体認証(FAR・FRR)とは?FARとFRRの違いとトレードオフ

公開: 更新: カテゴリ: セキュリティ系

30秒で結論

生体認証とは(全体像)

生体認証(バイオメトリクス認証)は、その人の体の特徴を「鍵」にして本人確認するしくみ。指紋・顔・虹彩(目の模様)・静脈・声・歩き方など、人によって違う特徴を使う。

パスワードや暗証番号は「覚えているか」で確かめるが、生体認証は「その体を持っているか」で確かめる。覚える必要も、忘れる心配もないのが利点。

ただし大事な注意がある。生体認証は便利だが、つねに確実とは限らない。機械が特徴を読み取って「似ているか」で判断するため、ときどき間違える。この「間違え方」を測るのが、次に出てくるFARとFRRという2つの率。ここが試験の中心。


詳しく:FARとFRRの違いとトレードオフ

ここが心臓部。2つの誤り率を表で押さえる。

2つの誤り率(FAR・FRR)

指標正式な意味かみくだくと困ること
FAR他人受入率他人を本人として通してしまう不正アクセスを許す
FRR本人拒否率本人なのに拒んでしまう自分が入れず不便

この2つは別の指標で、しかもシーソーのような関係にある。機械の判定を「厳しめ」にすると、他人ははじけるが本人もはじかれやすくなる(FARは下がるがFRRが上がる)。逆に「ゆるめ」にすると、本人は通りやすいが他人も紛れ込みやすい(FRRは下がるがFARが上がる)。

このどちらも一度には小さくできない関係を「トレードオフ」という。

判定の厳しさで両者が動く

判定を…FAR(他人受入)FRR(本人拒否)向いている場面
厳しくする下がる(安全)上がる(不便)銀行など安全最優先
ゆるくする上がる下がる(便利)利便性を優先

たとえば銀行のような安全を最優先する場面では、FARを低く設定する。他人を絶対に通したくないからで、そのぶん本人がはじかれること(FRRが上がる)は受け入れる。なお、FARとFRRがちょうど等しくなる点をEERといい、機械どうしの精度を比べる目安に使う(EERが小さいほど高精度)。

そしてもう一つ。生体認証も完全には安全ではない。顔写真や3Dプリントした指紋でなりすまされるリスクがあるし、読み取りの誤認識もある。だから読み取った生体情報は、端末の中の安全な領域(Secure EnclaveなどのTEE)に保存し、外に出さないのが基本。生体情報は個人情報として扱う。

わかりやすく言い換えると

要するに、FARとFRRは「入り口の門番がやる2種類の間違い」だとイメージするとラク。

FAR=他人なのに「どうぞ」と通してしまう間違い(防犯的にまずい)

FRR=本人なのに「あなたは違う」と止めてしまう間違い(本人が不便)

つまり、門番を厳しくすれば不審者は減るが常連まで止めてしまい、ゆるくすれば常連は楽だが不審者も入る——という、どちらかを立てれば片方が立たないシーソー、というわけ。


試験のツボ

🔴 一番出る:FARとFRRの意味

①FAR=他人受入率(他人を本人として通す間違い)

②FRR=本人拒否率(本人を拒む間違い)

🔴 次に出る:両者はトレードオフ

①判定を厳しくする → FAR下がる・FRR上がる(安全寄り)

②判定をゆるくする → FAR上がる・FRR下がる(便利寄り)

🟡 押さえると安定:限界と保護

生体認証も完全安全ではない(なりすまし・誤認識あり)。FARとFRRが等しくなる点がEER(小さいほど高精度)。生体情報は端末内の安全な領域に保存し、個人情報として扱う。


よくある間違い

「FARは本人を拒む率」→ ✗  FARは他人を受け入れる率。本人を拒むのはFRR。AとRで区別する。

「FARとFRRは同じ意味」→ ✗  別の指標で、片方を下げるともう片方が上がるトレードオフの関係。

「生体認証は絶対に破られない」→ ✗  写真や3Dプリントによるなりすまし、読み取りの誤認識があり、完全ではない。


試験での出題パターン

実際の問題でたしかめてみよう。

オリジナル問題1(FARとFRRの意味)

📝 オリジナル問題 1 FARとFRRの意味

生体認証のFARとFRRに関する次の記述のうち、正しいものはどれか。

  1. FARは他人を本人として誤って受け入れてしまう率、FRRは本人を誤って拒んでしまう率を表している
  2. FARは本人を誤って拒んでしまう率を表し、FRRは他人を本人として受け入れてしまう率を表している
  3. FARもFRRも本人を正しく受け入れた割合を表す指標で、両者の意味にとくに違いはないものとされる
  4. FARは登録できる指紋の最大数を表し、FRRは認証にかかる時間の長さを数値で表したものとされている
ピーエムロボ
ピーエムロボ 解答・解説

解答は 1 である。

FARは他人を本人として誤って受け入れてしまう率(他人受入率)、FRRは本人を誤って拒んでしまう率(本人拒否率)だ。FARの「A」はAccept、FRRの「R」はRejectで結びつけよ、と本機は提案する。

選択肢2は意味が逆、選択肢3は「同じ意味」が誤り、選択肢4は指紋の数や時間とは関係がない点で誤りである。

選択肢判定理由
1FAR=他人受入・FRR=本人拒否で正しい
2FARとFRRの意味が逆になっている
3両者は別の指標で意味が異なる
4指紋の数や認証時間を表す指標ではない

オリジナル問題2(トレードオフ)

📝 オリジナル問題 2 FARとFRRのトレードオフ

生体認証で判定の厳しさを変えたときの説明として、正しいものはどれか。

  1. 判定を厳しくするとFARもFRRも同時に下がり、両方の誤り率を一度にゼロにすることができるとされる
  2. 判定をゆるくすると本人は拒まれにくくなるが、その代わりに他人のほうが紛れ込みやすくなりFARが上がる
  3. 判定の厳しさを変えても、FARとFRRはまったく動かず、つねに同じ値のまま変化しないものとされている
  4. 判定を厳しくすると本人が通りやすくなり、同時に他人も通りやすくなって、安全性が高まるとされている
ピーエムロボ
ピーエムロボ 解答・解説

解答は 2 だ。

判定をゆるくすると、本人は拒まれにくくなる(FRRが下がる)が、他人も紛れ込みやすくなる(FARが上がる)。FARとFRRはシーソーの関係で、両方を一度にゼロにはできない、と本機は把握している。

選択肢1は「両方ゼロにできる」が誤り、選択肢3は「変化しない」が誤り、選択肢4は厳しくして他人も通りやすくなるという矛盾した内容で誤りである。

選択肢判定理由
1両者はトレードオフで同時にゼロにできない
2ゆるめるとFRR下がりFARが上がるで正しい
3判定の厳しさで両者は動く
4厳しくして他人も通るは矛盾している

オリジナル問題3(生体認証の限界と保護)

📝 オリジナル問題 3 生体認証の限界と保護

生体認証の安全性に関する次の記述のうち、正しいものはどれか。

  1. 生体認証は体の特徴を使うため絶対に破られず、なりすましや誤認識が起こることはないとされている
  2. 生体認証はパスワードと同じく、本人が定期的に特徴の文字列を覚えて入力し直す必要があるとされている
  3. 生体情報は個人情報には当たらないので、どこに保存しても自由で、保護のしくみは不要とされている
  4. 読み取った生体情報は、端末内の安全な領域に保存して外に出さず、個人情報として扱うのが基本である
ピーエムロボ
ピーエムロボ 解答・解説

解答は 4 だ。

読み取った生体情報は、端末の中の安全な領域(Secure EnclaveなどのTEE)に保存して外に出さず、個人情報として扱うのが基本だ。本機はこの保護を推奨する。

選択肢1は「絶対に破られない」が誤りで、写真や3Dプリントによるなりすまし・誤認識がある。選択肢2は生体認証に文字列の暗記は不要なので誤り、選択肢3は「個人情報に当たらない」が誤りである。

選択肢判定理由
1なりすまし・誤認識があり完全ではない
2文字列を覚えて入力するしくみではない
3生体情報は個人情報で保護が必要
4安全な領域に保存し個人情報として扱うで正しい

まとめ

押さえどころ

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執筆: SikakuQuest編集部

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