生成AIとは(全体像)
生成AI(ジェネレーティブAI)は、文章・画像・音声・動画などを新しく作り出すAIのこと。その中心になっているのがLLM(Large Language Model=大規模言語モデル)。LLMは、ものすごい量の文章を学習して、「ある言葉の次に来そうな言葉」を予測することで、自然な文章を作り出す。
ここで一つめの注意。「生成AI=ChatGPT」ではない。ChatGPTは代表例の一つで、ほかにもClaude・Gemini・Llamaなど複数のLLMが存在する。画像なら別のモデルもある。「生成AI=特定の一つ」と思うのは誤り。
そして、LLMをもっと賢く・正確に使うための2つの工夫が、試験本命のAgentとRAG。
詳しく:AgentとRAG
ここが心臓部。2つの工夫を表で押さえる。
LLMを賢く使う2つの工夫
| 名前 | 何をする | かみくだくと |
|---|---|---|
| Agent | LLMが自分で道具を呼び出して作業 | AIが「検索する・計算する」を自分で判断して実行 |
| RAG | 外部の資料を検索して答えに付け加える | 答える前に資料を調べてカンニングする |
Agent(エージェント)は、LLMが自分で道具(ツール)を使って、自律的に作業を進めるしくみ。たとえば「最新の天気を調べて」と頼むと、AIが自分で検索ツールを呼び出し、結果をもとに答える。「考えるだけ」でなく「自分で動いて道具を使う」のがAgentの特徴。
RAG(Retrieval-Augmented Generation=検索拡張生成)は、答える前に外部の資料を検索し、見つけた情報を質問にくっつけてLLMに渡す手法。資料は、意味の近さで探せる「ベクトルDB」などに入れておく。
RAGの効果
| 効果 | 意味 |
|---|---|
| 最新・独自データに対応 | 学習後の新情報や社内文書にも答えられる |
| ハルシネーションを減らす | 資料に基づくので、もっともらしい嘘が出にくい |
RAGで一番大事な注意。RAGはモデルを再学習(追加で勉強させること)しない。やっているのは「答える前に資料を検索して、その内容を渡すだけ」。だから準備が早く、資料を入れ替えればすぐ新しい情報に対応できる。「RAG=モデルを学習し直すこと」と思うのは誤り。
なお、AIがもっともらしいけれど事実でないことを言ってしまう現象をハルシネーション(幻覚)といい、RAGはこれを減らす代表的な方法になっている。
わかりやすく言い換えると
要するに、LLMは「たくさん本を読んで言葉が上手な人」だとイメージするとラク。
そのうえで、Agentは「自分で電話したり調べ物をして動ける人」、RAGは「答える前に資料を調べてから話す人(カンニングOKの試験)」。RAGは資料を見て話すので、デタラメ(ハルシネーション)が減る。
つまり覚えどころは、RAGは資料を見せるだけで、頭(モデル)を作り直すわけではないこと。だから手軽で、資料を差し替えれば最新情報にもすぐ対応できる、というわけ。
試験のツボ
🔴 一番出る:生成AIの中核はLLM・複数ある
①LLM=大量の文章を学び、次の言葉を予測して文章を作るモデル
②生成AIはChatGPTだけでなくGPT・Claude・Geminiなど複数ある
🔴 次に出る:RAGは検索して渡すだけ(再学習しない)
①RAG=外部資料を検索し、答えにくっつけてLLMに渡す
②モデルを再学習せず、ハルシネーション(嘘)を減らせる
🟡 押さえると安定:Agentは自分で道具を使う
Agentは、LLMが検索・計算などの道具を自分で呼び出し、自律的に作業を進めるしくみ。
よくある間違い
①「生成AIとはChatGPTという1つの製品だけを指す」→ ✗ ChatGPTは代表例の一つ。GPT・Claude・Geminiなど複数のLLMがある。
②「RAGはモデルを追加で学習させる手法だ」→ ✗ RAGは再学習しない。外部資料を検索して答えに渡すだけ。
③「Agentは文章を考えるだけで、道具を使うことはできない」→ ✗ Agentは検索や計算などの道具を自分で呼び出して作業を進める。
試験での出題パターン
実際の問題でたしかめてみよう。
オリジナル問題1(生成AIとLLM)
生成AIとLLMに関する次の記述のうち、正しいものはどれか。
- 生成AIとはChatGPTという1つの製品だけを指し、ほかに同じようなモデルは存在しないものとされる
- 生成AIの中核であるLLMは、データを保存するだけの装置で、文章を作る働きはないものとされている
- 生成AIの中核はLLMで、大量の文章を学んで次の言葉を予測し、ChatGPT以外のモデルも複数ある
- 生成AIは画像を表示するだけの機能で、文章や新しいものを作り出すことはできないものとされている
解答は 3 だ、わが子よ。
生成AIの中核はLLMで、大量の文章を学んで次の言葉を予測して文章を作る。そしてChatGPTだけでなく、Claude・Geminiなど複数のモデルが存在するのぞ。
選択肢1は「ChatGPTだけ」が誤り、選択肢2は「保存するだけ」が誤り、選択肢4は「画像表示だけ」が誤りである。
| 選択肢 | 判定 | 理由 |
|---|---|---|
| 1 | ✗ | 複数のモデルが存在する |
| 2 | ✗ | LLMは文章を作る働きを持つ |
| 3 | ✓ | 中核はLLMで複数モデルがあり正しい |
| 4 | ✗ | 文章など新しいものを作り出せる |
オリジナル問題2(RAG)
RAG(検索拡張生成)に関する次の記述のうち、正しいものはどれか。
- RAGは外部資料を検索して答えに付け加える手法で、モデルの再学習はせず嘘を減らす効果がある
- RAGはモデルを毎回ゼロから再学習させる手法で、外部資料の検索はいっさい行わないものとされる
- RAGは画像を生成する手法の名前で、文章の質問に答えることとは関係がないものとされている
- RAGはAIの電源を自動で切る機能のことで、生成AIの回答の正確さとは無関係なものとされている
解答は 1 だ。
RAGは、答える前に外部の資料を検索して、答えにくっつけてLLMに渡す手法である。モデルを再学習せず、資料に基づいて答えるので、もっともらしい嘘(ハルシネーション)を減らせるのぞ、わが子よ。
選択肢2は「ゼロから再学習」が誤り、選択肢3は「画像生成」が誤り、選択肢4は「電源を切る機能」が誤りである。
| 選択肢 | 判定 | 理由 |
|---|---|---|
| 1 | ✓ | 外部資料を検索し再学習せず嘘を減らし正しい |
| 2 | ✗ | RAGは再学習せず検索して渡す |
| 3 | ✗ | 画像生成の手法ではない |
| 4 | ✗ | 電源を切る機能ではない |
オリジナル問題3(Agent)
生成AIのAgentに関する次の記述のうち、正しいものはどれか。
- Agentは文章を考えるだけのしくみで、検索や計算などの道具を使うことはできないものとされている
- Agentはコンピュータの電源装置の名前で、生成AIの働きとはまったく関係がないものとされている
- Agentは画像を保存するための保存領域のことで、AIが作業を進めることとは無関係とされている
- AgentはLLMが検索や計算などの道具を自分で呼び出し、自律的に作業を進めるしくみのことである
解答は 4 だ、わが子よ。
Agentは、LLMが検索や計算などの道具を自分で呼び出し、自律的に作業を進めるしくみである。「考えるだけ」でなく「自分で動いて道具を使う」点が特徴ぞ。
選択肢1は「道具を使えない」が誤り、選択肢2は「電源装置」、選択肢3は「保存領域」がいずれも誤りである。
| 選択肢 | 判定 | 理由 |
|---|---|---|
| 1 | ✗ | 道具を自分で呼び出して使える |
| 2 | ✗ | 電源装置の名前ではない |
| 3 | ✗ | 保存領域のことではない |
| 4 | ✓ | 道具を自分で使い自律的に作業し正しい |
まとめ
押さえどころ
- 🔴 中核はLLM・複数ある … LLMは大量の文章を学んで次の言葉を予測して作る。生成AIはChatGPTだけでなくGPT・Claude・Geminiなど複数。
- 🔴 RAGは検索して渡すだけ(再学習しない) … 外部資料を検索して答えに付け、最新・独自データに対応しハルシネーション(嘘)を減らす。
- 🟡 Agentは自分で道具を使う … LLMが検索・計算などの道具を自分で呼び出し、自律的に作業を進める。
次に学ぶ
- ベクトルDB(AI時代・RAG) ── RAGで資料を検索するときに使うデータベース。意味の近さで情報を探すしくみがRAGを支える。
執筆: SikakuQuest編集部