IAM・IGA・PAMとは(全体像)
会社では、「誰が・どのシステムやデータにアクセスしてよいか」をきちんと管理する必要がある。これをまとめて行うのがIAM(Identity and Access Management=ID・アクセス管理)だ。
IAMの中には、アクセスの許し方(RBACやABAC)、本人確認をするIdP、アカウントを自動で作る・消すプロビジョニング(SCIM)などが含まれる。さらに、強い権限を特に厳しく見るPAM、権限の棚卸しや監査をするIGAもある。
押さえるのは、IAM・PAM・IGAの役割の違いと、RBACとABACの違いだ。
詳しく:3つの管理とアクセス制御を押さえる
ここが心臓部。まず3つの管理の役割を整理する。
IAM・PAM・IGAの役割
| 用語 | 役割 |
|---|---|
| IAM | ID・アクセスの全般を統合管理する |
| PAM | 管理者など特権アカウントに特化して厳重に管理する |
| IGA | 誰がどの権限を持つかの棚卸し・監査・承認(ガバナンス) |
アクセス制御の2方式も大事。
RBACとABACの違い
| 方式 | 内容 |
|---|---|
| RBAC | 役割(ロール)で権限を決める(部署・職位など)。シンプル |
| ABAC | 属性(所属・時間・場所など)の条件式でより細かく決める |
言葉を噛み砕いておく。
- IAMとPAMの違い … IAMは全般、PAMはそのうち特権アカウント(管理者など)に特化。「IAM=PAM」ではなく、PAMはIAMの中の特に厳重な部分だ。
- RBACとABAC … RBACは「役職カード」で権限を決める方式(部長カードはこの階)。ABACは「役職+時間+場所」など複数の条件でもっと細かく決める方式。
- SCIM … アカウントの作成・削除などを自動化するしくみ。入社・退社で手作業せずにすむ。
わかりやすく言い換えると
つまり、IAMは「会社の入館証と鍵を一元管理するしくみ」にたとえるとスッと入る。
「誰がどのドアを開けられるか」をまとめて管理するのがIAM。決め方には、役職カードで決めるRBAC(部長はこの階)と、役職+時間+場所などの条件で細かく決めるABAC(部長でも夜間は不可、など)がある。
そのうち、マスターキー(特権=管理者権限)を持つ人を特に厳しく見張るのがPAM(誰がいつ使ったか記録)。そして、誰がどの鍵を持っているかを定期的に棚卸し・監査するのがIGAだ。SCIMを使えば、入社・退社にあわせてアカウントを自動で作り・消せる、というわけだ。
試験のツボ
🔴 一番出る:IAM・PAM・IGAの役割
①IAM=ID・アクセスの全般/PAM=特権アカウントに特化
②IGA=棚卸し・監査・承認(ガバナンス)
🔴 次に出る:RBACとABACの違い
①RBAC=役割(ロール)で決める・シンプル
②ABAC=属性(所属・時間・場所)で、より細かく決める
🟡 押さえると安定:IAM=PAMではない(PAMは特権特化)。SCIMでアカウントの作成・削除を自動化
よくある間違い
①「IAMとPAMはまったく同じものだ」→ ✗ IAMは全般、PAMはそのうち特権アカウントに特化。同じではない。
②「RBACとABACは同じ方式だ」→ ✗ RBACは役割で決める、ABACは属性で細かく決める。粒度が違う。
③「アカウントの作成や削除はすべて手作業でしかできない」→ ✗ SCIMで自動化できる。入社・退社にあわせて作り・消せる。
試験での出題パターン
実際の問題でたしかめてみよう。
オリジナル問題1(IAM・PAM・IGA)
IAM・PAM・IGAに関する次の記述のうち、正しいものはどれか。
- IAMもPAMもまったく同じもので、特権アカウントと一般アカウントをいっさい区別しないとされているのが実情だ
- IAMはID・アクセスの全般を管理し、PAMは特権アカウントに特化、IGAは棚卸し・監査を担うものである
- IAMは画面の文字を大きくする設定のことで、IDやアクセスの管理とは関係しないとされているものである
- IGAは通信を速くするためだけのしくみで、権限の棚卸しや監査とはまったく関係がないとされているのだ
解答は 2 である。
IAMはID・アクセスの全般を管理し、PAMは特権アカウントに特化、IGAは棚卸し・監査を担う。役割を分けて押さえるとよい。
選択肢1は「IAM=PAM」が誤り。選択肢3の画面設定、選択肢4の通信速度は、いずれも誤りだ。
| 選択肢 | 判定 | 理由 |
|---|---|---|
| 1 | ✗ | IAMとPAMは同じではない |
| 2 | ✓ | IAM全般・PAM特権・IGA監査で正しい |
| 3 | ✗ | 画面設定ではない |
| 4 | ✗ | 通信を速くするしくみではない |
オリジナル問題2(RBACとABAC)
RBACとABACに関する次の記述のうち、正しいものはどれか。
- RBACは役割で権限を決め、ABACは属性(所属・時間・場所など)でより細かく決める方式の違いがある
- RBACとABACはまったく同じ方式で、権限の決め方にも粒度にも違いはないものとされているのが実情である
- RBACは属性、ABACは役割で決めるというように、両者の決め方がちょうど逆になっているとされているのだ
- RBACもABACも通信を暗号化するためだけの方式で、権限の制御とは関係しないとされているものである
解答は 1 だ。
RBACは役割(ロール)で権限を決め、ABACは属性(所属・時間・場所など)でより細かく決める。粒度の違いで押さえるとよい。
選択肢2は「まったく同じ」が誤り。選択肢3は役割と属性を逆にしている。選択肢4は「暗号化のため」が誤りだ。
| 選択肢 | 判定 | 理由 |
|---|---|---|
| 1 | ✓ | RBAC=役割・ABAC=属性で正しい |
| 2 | ✗ | 粒度が違う別方式 |
| 3 | ✗ | 役割と属性が逆 |
| 4 | ✗ | 暗号化のための方式ではない |
オリジナル問題3(SCIM)
アカウントの管理に関する次の記述のうち、正しいものはどれか。
- アカウントの作成や削除はすべて手作業でしか行えず、自動化するしくみはいっさい存在しないとされている
- SCIMは通信の速度を上げるためだけのしくみで、アカウントの作成や削除とは関係しないとされているのだ
- SCIMは画面の明るさを調整する設定のことで、ID管理とはまったく関係がないとされているのが実情である
- SCIMを使うとアカウントの作成や削除を自動化でき、入社・退社にあわせて自動で作り・消すことができる
解答は 4 だ。
SCIMを使うと、アカウントの作成や削除を自動化できる。入社・退社にあわせて、手作業なしで作り・消せるのが利点だ。
選択肢1は「手作業でしかできない」が誤り。選択肢2の通信速度、選択肢3の明るさ調整は、いずれも誤りだ。
| 選択肢 | 判定 | 理由 |
|---|---|---|
| 1 | ✗ | SCIMで自動化できる |
| 2 | ✗ | 通信を速くするしくみではない |
| 3 | ✗ | 明るさ調整ではない |
| 4 | ✓ | 作成・削除を自動化できるで正しい |
まとめ
押さえどころ
- 🔴 IAM = 誰が何にアクセスしてよいかを統合管理。PAM = 特権アカウントに特化。IGA = 棚卸し・監査。
- 🔴 アクセス制御はRBAC(役割で決める)とABAC(属性でより細かく決める)。IAM=PAMではない。
- 🟡 SCIMでアカウントの作成・削除を自動化(入社・退社にあわせて)。
次に学ぶ
- SAML・SSO ── IAMが扱う、一度のログインで複数サービスを使うしくみ。
- OAuth 2.0・OIDC ── 認証・認可を支える、現代的なしくみ。
- ゼロトラスト認証(条件付きアクセス) ── 最小権限を前提にする、現代の守りの考え方。
執筆: SikakuQuest編集部