【基本情報技術者の実務】ヒアリングメモを「機能要件」と「非機能要件」に整理する
在庫管理をシステム化したい事務所の受付長から、要件整理の相談が届く。
「薬草の在庫を、今は紙の帳簿で管理しています。書き間違いや数え間違いが多くて、システムにしたいんです。薬草の名前と残りの数、保管棚の場所を記録して、出し入れのたびに数を増やしたり減らしたりできるようにしたい。残りが少ない薬草も一覧で見たいです。使うのは受付係3人で、同時に触ることもあります。パソコンが得意でない人もいるので迷わず使えるとうれしくて、できれば3か月後の収穫祭までに使い始めたいんです。このメモから要件をまとめてもらえますか?」
基本情報技術者の知識は、こうした聞き取ったメモを整理して、作るべきものの輪郭を描けたときに力になる。この記事では、その整理の進め方をまとめる。
まず結論:要件は「機能」と「非機能」に分ける
メモには「してほしいこと」がまとめて書かれている。これを2つの視点に切り分けると、読み手に伝わる整理になる。軸は機能要件と非機能要件だ。
| 種類 | 問い | このメモでの例 |
|---|---|---|
| 機能要件 | システムは何をするか | 在庫の登録、数量の増減、少ない薬草の一覧 |
| 非機能要件 | どのくらいの性能・使いやすさ・期限で満たすか | 3人同時、迷わない操作、収穫祭まで |
まず機能要件で「何ができるか」を固め、非機能要件で「動作以外の条件」を添える。この順で並べると全体像が見えやすい。
メモから拾える要件を並べる
実際にメモの一文ずつを、どちらの要件に当たるか見ながら拾っていく。
機能要件(システムがすること)
- 薬草の情報(名前・残りの数・保管棚の場所)を登録・記録できる
- 出し入れに応じて数量を増やす・減らす(更新できる)
- 残りの数が少ない薬草を一覧で表示できる(仕入れの判断に使う)
非機能要件(動作以外の条件)
- 受付係3人が同時に利用できること(同時利用への対応)
- パソコンが得意でない人でも迷わず使える、わかりやすい操作であること(使いやすさ)
- 3か月後の収穫祭までに使い始められること(利用開始の期限)
「使いやすい」「早めに」といった言葉は非機能要件のサインになりやすい。動作そのものではなく、その動作をどう満たすかを表しているからだ。
プロならこう伝える
いただいたメモを、システムが何をするか(機能要件)と、性能や使いやすさ・期限などの条件(非機能要件)に分けて整理しました。まず機能要件としては、薬草の名前・残りの数・保管棚の場所を登録すること、出し入れに応じて数量を増やしたり減らしたりできること、残りが少ない薬草を一覧で表示できること、の3つが読み取れます。
非機能要件としては、受付係3人が同時に使えること、パソコンが得意でない方でも迷わず操作できること、3か月後の収穫祭までに使い始められること、を挙げました。この3つは「何をするか」ではなく「どのくらいの条件で満たすか」にあたるので、機能要件と分けて添えています。
この形で分けておくと、作る側と使う側で認識をそろえやすくなります。もし抜けている動作や条件があれば、この一覧に足していけば整理が進みます。
説明で外したくないポイント
- 機能と非機能で分ける:「何をするか」と「どんな条件で満たすか」を別の見出しにすると伝わる。
- メモの言葉を要件に翻訳する:「数え間違いが多い」は「登録・更新できる」という機能に置き換える。
- 条件を数字で押さえる:3人・3か月後など、非機能要件は具体的な数字があると後の判断に効く。
この場面で効いている基本情報技術者の知識
- 機能要件:システムが提供する動作・処理を表す
- 非機能要件:性能・使いやすさ・期限など、動作以外の満たすべき条件
- 要件定義:聞き取った内容を整理し、作るものの範囲を決める工程
「機能要件と非機能要件に分ける」という知識が、そのままヒアリングメモを伝わる整理へ変える手がかりになっている。
自分でやってみる
学習アプリ「シカクエ」の実務クエストでは、この相談に自分で要件を整理して書いて採点を受けられる(架空の練習用)。機能と非機能に分けて漏れなく拾えるか、試してみると定着が進む。