科目A免除制度とは、どんなしくみか
まず、制度の正体から整理します。
新しい基本情報は、科目A・科目Bの2本立てでしたね。このうち、科目Aの受験を免除してもらえるのが、科目A免除制度です。免除が認められると、本試験では科目Bだけを受ければよくなります。
では、どうすれば免除を受けられるのか。流れはおおむねこうです。IPA(情報処理推進機構)が認定した講座や学校で、科目A相当の内容を学び、所定の修了試験に合格する。これをクリアすると、一定の期間、本試験の科目Aが免除されます。
IPA認定の講座・学校で学び、修了試験に合格すると、本試験の科目Aが免除される制度。 免除されると、当日に受けるのは科目Bだけになります。
噛み砕いて言うと、「科目Aの実力を、本試験とは別のタイミングで証明しておく」しくみです。前もって科目Aぶんの関門を通過しておくことで、本番では科目Bに集中できる、というわけです。
なお、認定された講座や学校、修了試験の具体的な条件は、年度や実施団体によって異なります。利用を考えるときは、IPAの公式情報と、受けようとしている講座の案内で、最新の内容を必ず確かめてください。
なぜ「最短ルート」と呼ばれるのか
この制度が「最短」と言われるのには、はっきりした理由があります。
ひとつは、当日の負担が軽くなること。科目Aは出題範囲がとても広く、テクノロジ・マネジメント・ストラテジと、覚えることが多い部分です。ここが免除されれば、本番で向き合うのは科目Bだけ。当日の集中力を、まるごと科目Bに振り向けられます。
もうひとつは、学習の的が絞れることです。通常ルートでは科目Aと科目Bを並行して仕上げる必要がありますが、免除を前提にすれば、本試験対策の軸を科目Bに置ける。たとえばスタック・キューのようなデータ構造や、グラフ表現といったアルゴリズムの土台に、じっくり時間をかけられます。
科目Aが免除されると、本試験は科目Bのみ。当日の負担が軽くなり、対策の的も科目Bに絞れます。広い科目Aを本番で抱えずに済むのが、近道と呼ばれる理由です。
ただ、ここは誤解しないでほしいところです。「最短」は「楽」とイコールではありません。科目Aの内容は、修了試験という形で先に学んでいます。つまり、勉強そのものがなくなるわけではなく、関門を通る順番とタイミングが変わる、というのが正確な理解です。
見落としやすい注意点(有効期限と前提条件)
近道には、知っておくべき注意点もあります。ここを押さえておかないと、せっかくの免除が活きません。
いちばん大事なのが、有効期限です。修了試験に合格して得た免除には、有効な期間が定められています。その期間のうちに本試験の科目Bに合格しないと、免除の効力が切れてしまうことがあります。「免除を取ったから、いつ受けてもいい」と考えてのんびりしていると、期限切れで振り出し、という事態もあり得るんです。
科目A免除には有効期限があります。期限内に本試験の科目Bに合格する必要があるため、免除を取ったら、科目Bの受験計画も合わせて立てておくのが安全です。
もうひとつは、前提条件です。この制度は、IPA認定の講座や学校で学ぶことが出発点になります。つまり、完全な独学だけで免除を受けることは、基本的にできません。講座の受講には費用や時間がかかることもあるので、そこも含めて「自分にとって近道になるか」を見極める必要があります。
このあたりの期限の長さや対象となる講座は、制度として更新されることがあります。利用前に、必ず公式情報で最新の条件を確認してください。
免除を使うときの、おおまかな流れ
実際に科目A免除を使うとなると、どんな道のりになるのか。全体像をつかんでおくと、計画が立てやすくなります。おおまかには、こんな順番です。
科目A免除を使う場合の流れ(イメージ)
| 段階 | やること | ポイント |
|---|---|---|
| ① 講座を選ぶ | IPA認定の対象講座・学校を探す | 免除対象かどうかを公式情報で確認 |
| ② 学んで修了試験を受ける | 科目A相当の内容を学び、修了試験に合格 | ここが科目Aぶんの関門 |
| ③ 免除を得る | 修了認定で科目Aの免除が有効になる | 有効期限がここから始まる |
| ④ 科目Bを受験する | 期限内に本試験の科目Bへ申し込み・合格 | 通年CBTで日程を予約 |
ここで見落としやすいのが、②と④が別物だということです。修了試験に受かった時点ではまだゴールではなく、そこから本試験の科目Bに合格して、ようやく「基本情報技術者」になれます。免除はあくまで途中の関門をひとつ前倒しするもの、というイメージで捉えておくと、計画がぶれません。
逆に言うと、③で免除を得た瞬間から、有効期限のカウントが進んでいきます。だからこそ、②の段階で「科目Bをいつ受けるか」までざっくり描いておくと、期限に追われずに済みます。免除と本試験を、ひとつながりの計画として考えるのがコツです。
自分に向いているかどうかの見極め方
では、科目A免除は誰にとっての近道なのか。向き不向きを、正直に整理しておきます。
向いているのは、もともと認定講座や学校で学ぶ予定がある人です。たとえば、対象の専門学校に通っている、あるいは免除対象の講座を受けるつもりがある——そういう人にとっては、学びの流れに免除が自然に組み込めるので、強い近道になります。
いっぽう、完全に独学で進めたい人にとっては、免除のためにわざわざ講座を取るのが、かえって遠回りになることもあります。その場合は、科目A・科目Bを通常どおり受ける道のほうが、素直で迷いがありません。科目Aは暗記と過去問でコツコツ積み上げれば、独学でも十分に届く範囲だからです。免除に使うはずだった費用を市販テキストに回す、という考え方もできます。
そして、忘れてはいけないことがひとつ。科目Aが免除されても、科目Bのアルゴリズムや情報セキュリティは、自分で越える必要があります。たとえばAES・共通鍵暗号のようなセキュリティの基礎は、免除では肩代わりできません。免除はあくまで「科目Aぶんの負担を前倒しする」しくみで、科目Bという本丸は残る——ここを土台に据えておくと、計画がぶれません。
- 科目A免除は、IPA認定の講座・学校+修了試験合格で科目Aが免除される制度
- 免除されると本試験は科目Bのみ。当日の負担が軽く、対策の的を絞れる
- ただし有効期限があり、期限内に科目Bへ合格する計画が必要
- 独学だけでは使えない(認定講座の受講が前提・費用と時間がかかる)
- 「最短」は人によって違う。学ぶ予定がある人には近道、独学派は通常ルートが素直
理解度チェック
ここまでの内容が、どれくらい身についたか確かめてみましょう。
科目A免除制度のしくみとして、最も適切なものはどれか。
- 一定の年齢に達していれば、申請の手続きをするだけで自動的に科目Aが免除される
- 過去に一度でも科目Aに合格していれば、以後はずっと免除が続く
- IPA認定の講座や学校で学び、修了試験に合格すると科目Aが免除される
- 受験料を追加で支払えば、当日その場で科目Aを免除してもらえる
解答は 3 です。
科目A免除は、IPAが認定した講座や学校で学び、所定の修了試験に合格することで受けられます。つまり、前もって科目Aぶんの関門を通過しておくしくみです。
| 選択肢 | 判定 | 理由 |
|---|---|---|
| 1 | ✗ 誤り | 年齢で自動免除される制度ではない |
| 2 | ✗ 誤り | 「ずっと免除が続く」ものではなく期限がある |
| 3 | ✓ 正解 | 認定講座+修了試験合格が免除の条件 |
| 4 | ✗ 誤り | 追加料金で当日免除される制度ではない |
免除されると、本試験で受けるのは科目Bだけになります。
科目A免除を使ううえで、特に注意すべき点はどれか。
- 免除には有効期限があり、期限内に科目Bへ合格する計画が必要になる
- 免除を受けると、科目Bも同時に免除されるので試験そのものがなくなる
- 免除を取れば、その後は何年でも好きなときに科目Bを受けられる
- 免除中は、ほかのIT国家試験を受験することが一切できなくなる
解答は 1 です。
科目A免除には有効期限があり、その期間内に本試験の科目Bへ合格しないと、効力が切れてしまうことがあります。要するに、免除を取ったら科目Bの受験計画もセットで立てておくのが安全です。
| 選択肢 | 判定 | 理由 |
|---|---|---|
| 1 | ✓ 正解 | 期限内に科目Bへ合格する計画が必要 |
| 2 | ✗ 誤り | 免除されるのは科目Aだけで、科目Bは残る |
| 3 | ✗ 誤り | 期限があるので「何年でも」ではない |
| 4 | ✗ 誤り | 他試験の受験を妨げる制度ではない |
期限切れで振り出しに戻らないよう、計画と合わせて使いましょう。
科目A免除制度が「最短ルート」になりやすいのは、どんな人か。
- とにかく受験料をなるべく安く抑えることだけを優先したいと考えている人
- 数学や計算がとても得意で、科目Aを短い時間で解ける自信がある人
- 試験当日まで、ほとんど勉強せずに合格したいと思っている人
- もともと学校や講座で学ぶ予定があり、その流れに免除を組み込める人
解答は 4 です。
科目A免除は、認定講座や学校で学ぶことが前提のしくみ。もともとそうした学びの予定がある人にとっては、流れに自然に組み込めるので、強い近道になります。
| 選択肢 | 判定 | 理由 |
|---|---|---|
| 1 | ✗ 誤り | 講座の費用がかかるため、安さが理由にはならない |
| 2 | ✗ 誤り | 得意でも、免除は学びの予定があるかで決まる |
| 3 | ✗ 誤り | 科目Bは残るので、無勉強で受かる道ではない |
| 4 | ✓ 正解 | 学ぶ予定がある人ほど免除を活かしやすい |
独学で進めたい人は、通常ルートのほうが素直なこともあります。
科目A免除を使うにせよ通常ルートで行くにせよ、最後に向き合うのは科目Bです。その演習を、通勤の途中や寝る前に1問ずつ進めたい人は、シカクエのアプリも選択肢の一つに入れてみてください。1問1分のリズムで、5分から積み重ねられます。
もちろん、認定講座のテキストや過去問サイトで進めるのも、まったく問題ありません。大事なのは、自分に合う道を選んで、無理なく続けていくことです。
次に読むなら、こんな記事もどうぞ。
→ スタック・キュー — 取り出す順番が真逆の、科目Bで土台になるデータ構造 → グラフ表現 — 隣接行列・隣接リストなど、アルゴリズムの基礎になる表し方 → AES・共通鍵暗号 — 免除では肩代わりできない、科目Bのセキュリティの基礎