「難しすぎる」と言われる、おもな理由
まず、なぜ「難しすぎる」という声が出るのか。理由はいくつかありますが、いちばん大きいのは科目Bのアルゴリズムです。ほかにも、範囲の広さや、昔のイメージが尾を引いている面があります。
「難しい」と感じられる主な理由
ここで大事なのは、この3つを同じ重さで怖がらないこと。本当に時間がかかるのは科目Bで、あとの2つは、知れば「なんだ」と思える部分が多いんです。順番に、ひとつずつ見ていきましょう。
とくに「昔のイメージ」は、けっこう厄介です。基本情報は2023年に試験の形が大きく変わりました。それ以前は、午前と午後に分かれていて、午後ではいくつかの言語から選んで長い問題を解く、という形式。当時の「難関」という評判が、いまもネットに残っています。でも、今の試験はそのころとは別物。古い体験談を読んで怖くなっている、というケースが、実はかなりあるんです。
つまり、「難しすぎる」とひとくくりにせず、難しさを分解してみる。そうすると、対策の立てようが見えてきます。そして分解してみると、「思い込みで膨らんだ難しさ」が、けっこう混じっていることに気づきます。
真相①——科目Bは「慣れ」で越えられる山
いちばんの山は、やはり科目Bです。ここを正直にお伝えします。
科目Bの中心は、擬似言語と呼ばれる「プログラムの設計図のような書き方」を読み解くこと。プログラミングをやったことがない人にとっては、最初は記号の羅列に見えて、戸惑うのが普通です。ここで「無理かも」と感じる人が多い。
でも、ここがいちばん大事なところ。科目Bの難しさは、「才能」ではなく「慣れ」の問題です。
たとえば、データを一時的に積んだり取り出したりするスタック・キューや、要素を数珠つなぎにする連結リスト。こうした基本のデータ構造は、最初は難しく見えても、図を描きながら何度か追ううちに「あ、こういうことか」と腑に落ちます。
擬似言語は、最初の数問が山場です。わかりやすく言うと、自転車の練習と同じで、最初はぐらつくけれど、乗れてしまえば体が覚える。図を描いて処理を一行ずつ追う——これを何度か繰り返すと、急に読めるようになります。早めに触り始めるのが、いちばんのコツです。
もうひとつ知っておいてほしいのは、擬似言語は「特定のプログラミング言語の暗記」ではない、ということ。昔は言語を選んで解く形式だったので、「どの言語を覚えればいいの?」と身構える人がいました。でも今は、言語に依存しない共通の書き方に統一されています。つまり、Pythonでもなく、Javaでもない、「考え方そのもの」を読む練習をすればいい。ここはむしろ、未経験の人にとってフェアになった部分です。
正直なところ、ここを乗り越えるのに時間がかかる人は多いです。でも、乗り越えられないわけではない。むしろ、時間をかければ確実に景色が変わる分野なので、焦らず触れ続けるのが効きます。最初は1問に30分かかっていたのが、慣れると数分で流れを追えるようになる。その変化を一度味わうと、急に苦手意識が薄れていきます。
真相②——範囲は広いが、深さは「基礎」どまり
次に、科目Aの「範囲の広さ」。これも「難しさ」の理由としてよく挙がります。
確かに、科目Aはテクノロジ・マネジメント・ストラテジと、カバーする範囲がとても広い。技術の話から、プロジェクト管理、経営の知識まで含まれます。一覧を見ると、「こんなに覚えるの?」と圧倒されるかもしれません。
ただ、ここにからくりがあります。範囲は広いけれど、ひとつひとつの深さは、それほどでもないんです。
科目Aは範囲が広い分、一問の深さは浅め。専門家レベルの難問ではなく、「基礎を知っているか」を広く問う作りです。だから、一分野を深く掘るより、全体を満遍なく一巡するほうが効きます。広さに圧倒されず、浅く広く、が攻略の合言葉です。
たとえばセキュリティの分野でも、ハッシュ関数のような仕組みを「ざっくり何のためのものか」が分かれば、まずは十分。細部の暗記より、全体像をつかむことが先決です。
それに、範囲が広いことには、いい面もあります。苦手な分野が出ても、得意な分野で取り返せる。一問の重みが小さいので、ひとつの失点が大きく響きにくいんです。満遍なく押さえておけば、本番で多少てこずる問題があっても、全体として基準に届きやすい。広さは、怖さでもあるけれど、保険でもあるわけです。
考えてみると、これは「一問入魂」型の試験より、ずっと優しい設計です。難問が一つ出ただけで青ざめる、ということが起きにくい。分からない問題は潔く飛ばして、解ける問題を積み上げる——そんな立ち回りができるのも、範囲が広く配点が分散しているおかげなんです。
要するに、範囲の広さは「量の多さ」であって、「一問ごとの難しさ」ではない。コツコツ広げていけば、ちゃんと埋まっていきます。毎日少しずつ範囲を進めれば、気づいたときには地図のかなりの部分が塗りつぶされている、というのが、続けた人の実感です。
真相③——基準点クリア型で、何度でも挑める
3つ目は、難易度の「受け止め方」に関わる話です。
基本情報は、上位の何%だけが受かる相対評価ではありません。科目A・科目Bそれぞれで基準点を超えれば合格、という絶対評価です。つまり、誰かと競って席を奪い合うのではなく、自分が基準に届けばいい。
これは、心理的にとても大きい違いです。ライバルの出来を気にする必要がなく、「自分のペースで基準に近づく」ことだけ考えればいい。
基準点を超えれば受かる仕組みに加えて、いまは通年で受けられます。要するに、もし今回届かなくても、立て直してまた挑める。一発勝負の重圧が少ないぶん、落ち着いて準備に向き合えます。これも「難しすぎる」の印象をやわらげる、大事な事実です。
この「やり直せる」という余白は、勉強の進め方にも効いてきます。完璧に仕上げてからでないと挑めない、と思うと、なかなか一歩が踏み出せません。でも、まずは受けてみて、足りないところを次に補う、という進め方ができるなら、スタートのハードルはぐっと下がります。本番そのものを、いちばんの実力チェックに使えるわけです。
もちろん、何度でも受けられるからといって、準備をおろそかにしていいわけではありません。ただ、「一回で決めないと終わり」という追い詰められ方をしなくていいのは、確かな安心材料です。気持ちに余裕があるほうが、結局は実力も出しやすいものです。
結局、難しさは「正しく準備すれば越えられる」種類
ここまでを通して見ると、基本情報は「簡単」ではないけれど、「越えられないほど難しい」わけでもない、という姿が見えてきます。
難しさの正体は、才能で決まる壁ではなく、「慣れ」と「量」で越えられる壁。だから、基本情報は「努力が報われやすい試験」だとよく言われます。
ここは、人によっては意外に感じるかもしれません。「IT=センスの世界」というイメージがあるからです。でも、基本情報に関して言えば、出題の傾向は安定していて、過去問の積み重ねがそのまま力になります。ひらめきよりも、地道さが効く。だからこそ、文系でも、未経験でも、コツコツ型の人ほど結果を出しやすいんです。
逆に言えば、「自分には才能がないから」という理由で諦めるのは、いちばんもったいない。ここで問われているのは才能ではなく、続けられるかどうか。そして続ける工夫なら、いくらでも用意できます。
- 最大の山は科目Bのアルゴリズム。でも才能ではなく「慣れ」で越えられる
- 科目Aの範囲は広いが、一問の深さは基礎どまり。浅く広くで対応できる
- 基準点クリア型(絶対評価)+通年で、一発勝負の重圧が少ない
- 難しさは「才能の壁」ではなく「慣れと量の壁」
- だから基本情報は「正しく準備すれば届く」試験
地頭やセンスで決まる試験ではありません。早めに始めて、コツコツ続けた人から順に、ちゃんとゴールにたどり着いています。
だから、いま「難しすぎるかも」と尻込みしているなら、まずは一番の山である科目Bに、少しだけ触れてみるのをおすすめします。最初の一問は確かに手強い。でも、その一問を図に描いて追いかけてみると、「思っていたより怖くないかも」という感覚が、きっと芽生えます。その小さな手応えが、ふくらみすぎた難しさのイメージを、現実的なサイズに戻してくれます。
理解度チェック
ここまでの内容が、どれくらい身についたか確かめてみましょう。
科目Bのアルゴリズムの難しさについて、本文の説明に最も近いものはどれか。
- 生まれ持った才能がないと越えられない
- 一度つまずくと二度と理解できなくなる
- 暗記量がすべてで、考える要素はない
- 才能ではなく「慣れ」で越えられる山
解答は 4 です。
科目Bの難しさは、才能ではなく「慣れ」の問題です。図を描いて処理を一行ずつ追う練習を重ねれば、急に読めるようになります。つまり、続けた人から順に越えられる山です。
| 選択肢 | 判定 | 理由 |
|---|---|---|
| 1 | ✗ 誤り | 才能で決まる壁ではない |
| 2 | ✗ 誤り | 慣れれば理解できるようになる |
| 3 | ✗ 誤り | 暗記だけの分野ではない |
| 4 | ✓ 正解 | 慣れで越えられる、と本文は説明 |
早めに触れ始めるのが、いちばんのコツです。
科目Aの「範囲の広さ」について、本文の説明に最も近いものはどれか。
- 範囲が広く、一問ごとも専門家レベル
- 範囲は広いが、一問の深さは基礎どまり
- 範囲がとても狭く、暗記が一切いらない
- 範囲は年によって大きく増減し読めない
解答は 2 です。
科目Aは範囲が広い分、一問の深さは浅めです。専門家レベルの難問ではなく、基礎を広く問う作り。だから、一分野を深掘りするより、全体を満遍なく一巡するほうが効きます。
| 選択肢 | 判定 | 理由 |
|---|---|---|
| 1 | ✗ 誤り | 一問ごとは基礎的な深さ |
| 2 | ✓ 正解 | 広いが深さは基礎どまり |
| 3 | ✗ 誤り | 範囲は広く、暗記も必要 |
| 4 | ✗ 誤り | 範囲が読めないわけではない |
広さに圧倒されず、浅く広く、が合言葉です。
基本情報の合否の仕組みについて、本文の説明に最も近いものはどれか。
- 基準点を超えれば受かる絶対評価である
- 上位の数%だけが受かる相対評価である
- 一度落ちると一定期間は受験できない
- 科目Aの点数だけで合否がすべて決まる
解答は 1 です。
基本情報は、科目A・科目Bそれぞれで基準点を超えれば合格する絶対評価です。誰かと席を奪い合うのではなく、自分が基準に届けばいい。さらに通年で受けられるので、立て直して何度でも挑めます。
| 選択肢 | 判定 | 理由 |
|---|---|---|
| 1 | ✓ 正解 | 基準点クリア型の絶対評価 |
| 2 | ✗ 誤り | 上位数%だけの相対評価ではない |
| 3 | ✗ 誤り | 通年で再挑戦しやすい |
| 4 | ✗ 誤り | 科目A・科目B両方で判定する |
一発勝負の重圧が少ないのも、安心できるところです。
「基本情報、思ったより越えられそう」と感じてもらえたなら、編集部としては嬉しいです。
科目Bのアルゴリズムを少しずつ体で覚えたいなら、4択問題から基礎を固められるシカクエのアプリも、選択肢の一つに入れてみてください。1問1分のリズムで、通勤の往復からでも積み重ねられます。
もちろん、市販のテキストや過去問サイトで進めるのも、まったく問題ありません。自分に合うやり方で、無理なく続けていくのがいちばんです。
次に読むなら、こんな記事もどうぞ。
→ スタック・キュー — データを積んで取り出す、科目Bで基本になる考え方 → 連結リスト — 要素を数珠つなぎにして扱う、定番のデータ構造 → ハッシュ関数 — データの指紋をつくる、セキュリティの土台になる仕組み