ROI・ROEなどの経営指標とは(全体像)
経営指標とは、会社の成績を「割合(%)」で見えるようにしたもの。金額そのものだけでは規模の違う会社を比べにくいので、「投資したお金に対して何%もうけたか」のように割合で表す。
ポイントは、どの指標も「もうけ ÷ 何か」という形で、割る数(分母)が指標ごとに違うこと。投資額で割ればROI、株主の出したお金で割ればROE、会社の全財産で割ればROA。この分母の違いが、試験でいちばん問われるところだ。
詳しく:主な指標と分母の違いを押さえる
ここが心臓部。次の表で、計算式(とくに分母)を整理しよう。
主な経営指標
| 指標 | 正式名 | 計算(おおまかに) | 何を見るか |
|---|---|---|---|
| ROI | 投資利益率 | 利益 ÷ 投資額 | 投資の効率(IT投資の評価でよく使う) |
| ROE | 自己資本利益率 | 当期純利益 ÷ 自己資本 | 株主の出したお金の効率 |
| ROA | 総資産利益率 | 利益 ÷ 総資産 | 会社の全財産の効率 |
| 自己資本比率 | - | 純資産 ÷ 総資産 | 財務の健全性(高いほど安全) |
特に大事な2つを掘り下げよう。
ひとつめ。分母の違い。ROIは「投資したお金」で割る(投じたお金に対するもうけ)。ROEは「自己資本」(株主が出したお金)で割る。ROAは「総資産」(会社の全財産)で割る。ROEとROAは似ているが、分母が自己資本か総資産かで違う——ここがよく問われる。
ふたつめ。自己資本比率。これはもうけの効率ではなく、会社の安全性(財務の健全性)を見る指標で、「純資産 ÷ 総資産」で求める。全財産のうち、返さなくてよい自分のお金(純資産)がどれだけあるかを表し、高いほど安全とされる。
わかりやすく言い換えると
身近なたとえで整理しよう。
ROIは、1万円を元手に始めた副業でイメージできる。2千円もうかれば、もうけ÷元手=20%がROI。つまり、使ったお金に対して、どれだけ増やせたかということ。
ROEとROAの違いは、家の買い方でイメージできる。ROEは「自分が出した頭金(自己資本)に対するもうけ」、ROAは「ローンも含めた家全体(総資産)に対するもうけ」。要するに、自分のお金で見るか、借りた分も含めた全体で見るかの違い、ということ。
試験のツボ
🔴 一番出る:分母の違い
①ROI = 利益 ÷ 投資額/ROE = 利益 ÷ 自己資本
②ROA = 利益 ÷ 総資産(ROEは自己資本、ROAは総資産で分母が違う)
🔴 次に出る:ROEとROAの取り違え
①ROEの分母は自己資本(株主の出したお金)
②ROAの分母は総資産(会社の全財産)
🟡 押さえると安定:自己資本比率
①純資産 ÷ 総資産で求める財務の健全性の指標
②高いほど安全(もうけの効率ではない)
よくある間違い
①「ROIとROEは同じ指標だ」→ ✗ ROIは投資額が分母、ROEは自己資本が分母。割る数が違う別の指標。
②「ROAの分母は自己資本だ」→ ✗ ROAの分母は総資産(全財産)。自己資本が分母なのはROEのほう。
③「自己資本比率はもうけの効率を表す」→ ✗ 自己資本比率は財務の健全性(安全性)を表す指標。もうけの効率ではない。
試験での出題パターン
実際の問題でたしかめてみよう。
オリジナル問題1(ROIの意味)
ROI(投資利益率)に関する次の記述のうち、最も適切なものはどれか。
- ROIは、投資したお金に対するもうけの割合で、投資の効率を見るための指標だと説明しているもの
- ROIは、ある時点の資産から負債を引いた純資産の金額そのものを表している指標だと説明しているもの
- ROIは、現金の出入りを営業・投資・財務の3つに分けて表す指標のことだと説明しているもの
- ROIは、会社の従業員数を売上で割って求める、人の効率を表す指標のことだと説明しているもの
解答は 1 だよ。
ROI(投資利益率)は「利益 ÷ 投資額」で、投資したお金に対してどれだけもうけたかの効率を見る指標だよ。IT投資の評価でもよく使われるね。
選択肢2は純資産、選択肢3はC/F、選択肢4は人の効率の話で、いずれも誤りだよ。
| 選択肢 | 判定 | 理由 |
|---|---|---|
| 1 | ✓ | 投資額に対するもうけの効率で正しい |
| 2 | ✗ | 純資産の金額そのものではない |
| 3 | ✗ | C/Fの説明と取り違えている |
| 4 | ✗ | 人の効率を表す指標ではない |
オリジナル問題2(自己資本比率)
自己資本比率に関する次の記述のうち、最も適切なものはどれか。
- 自己資本比率は、投資したお金に対するもうけの割合を表す、投資の効率の指標だと説明しているもの
- 自己資本比率は、純資産を総資産で割って求める、財務の健全性を見る指標だと説明しているもの
- 自己資本比率は、当期純利益を自己資本で割って求める、株主資本の効率の指標だと説明している
- 自己資本比率は、現金の流れを3つに区分して表す、現金の出入りの指標のことだと説明している
解答は 2 だよ。
自己資本比率は「純資産 ÷ 総資産」で求める、財務の健全性(安全性)を見る指標だよ。返さなくてよい自分のお金がどれだけあるかを表し、高いほど安全だね。
選択肢1はROI、選択肢3はROE、選択肢4はC/Fの説明と取り違えているよ。
| 選択肢 | 判定 | 理由 |
|---|---|---|
| 1 | ✗ | これはROIの説明 |
| 2 | ✓ | 純資産÷総資産で財務の健全性を見るで正しい |
| 3 | ✗ | これはROEの説明 |
| 4 | ✗ | これはC/Fの説明 |
オリジナル問題3(ROEとROAの違い)
ROEとROAの違いに関する次の記述のうち、最も適切なものはどれか。
- ROEの分母は総資産で、ROAの分母は自己資本という、分母が入れ替わった関係だと説明しているもの
- ROEもROAも、どちらも投資した金額を分母にして求める、まったく同じ指標だと説明しているもの
- ROEの分母は自己資本(株主のお金)、ROAの分母は総資産(全財産)という違いだと説明している
- ROEもROAも、ある時点の財産を表すB/Sのなかだけで使う用語のことだと説明しているもの
解答は 3 だよ。
ROEの分母は自己資本(株主が出したお金)、ROAの分母は総資産(会社の全財産)だよ。似ているけれど分母が違うので、ここを取り違えないでね。
選択肢1は分母が入れ替わっていて誤り、選択肢2は「同じ指標」が誤り、選択肢4はB/Sの話で別物だね。
| 選択肢 | 判定 | 理由 |
|---|---|---|
| 1 | ✗ | ROEとROAの分母が入れ替わっている |
| 2 | ✗ | 投資額が分母なのはROI |
| 3 | ✓ | ROE=自己資本、ROA=総資産で正しい |
| 4 | ✗ | B/S専用の用語ではない |
まとめ
押さえどころ
- 🔴 分母の違い = ROIは投資額/ROEは自己資本/ROAは総資産(どれも「もうけ ÷ 何か」)。
- 🔴 ROEとROA = ROEは自己資本(株主のお金)、ROAは総資産(全財産)が分母。
- 🟡 自己資本比率 = 純資産 ÷ 総資産。財務の健全性を見る(高いほど安全)。
次に学ぶ
- 財務諸表(B/S・P/L・C/F) ── 指標の分母(自己資本・総資産)はB/S、もうけ(利益)はP/Lから取る。あわせて押さえよう。
執筆: SikakuQuest編集部