原価計算とは(全体像)
原価計算とは、「この製品1個に、いくらお金がかかったか」を計算するしくみのこと。原価がわかれば、いくらで売れば利益が出るか、どこにムダがあるかが見えてくる。
まず、原価は3つの要素でできている。①材料費(モノの代金)、②労務費(作る人の人件費)、③経費(それ以外、電気代や外注費など)。そのうえで、これらの費用を2つの切り口で分類するのが試験のポイントになる。
詳しく:費用の2つの分け方をこの表で押さえる
ここが心臓部。費用の分け方は2種類あり、別物だ。次の表で整理しよう。
費用の2つの分け方
| 分け方 | 区分 | 見分けるポイント |
|---|---|---|
| 製品にひもづくか | 直接費 / 間接費 | 特定の製品にすぐ結びつけられる=直接費。複数製品で共通=間接費 |
| 作る量で増えるか | 変動費 / 固定費 | 作る量に比例して増える=変動費。量と関係なく一定=固定費 |
特に大事な2つを掘り下げよう。
ひとつめ。直接費と間接費は、「その費用を、特定の製品に直接ひもづけられるか」で分ける。たとえば、ある製品だけに使う材料費は直接費。工場全体の電気代のように複数の製品で共通する費用は間接費で、各製品に分けて割り当てる(配賦という)必要がある。
ふたつめ。固定費と変動費は、「作る量によって増えるか」で分ける。作る量に比例して増える材料費などは変動費、作る量と関係なくかかる工場の家賃などは固定費。
ここで注意。「直接費/間接費」と「固定費/変動費」は別の分け方なので、「直接費=変動費」とは限らない。たとえば、ある製品専用の機械の費用は、特定製品にひもづくので直接費だが、作る量と関係なく一定なら固定費——というように、両方の組み合わせがありうる。
わかりやすく言い換えると
身近なたとえで整理しよう。
直接費と間接費は、割り勘でイメージするとわかりやすい。1人だけが頼んだ料理は本人の負担=直接費、みんなで分けた前菜は全員で割る=間接費。つまり、だれの分かはっきりするか/みんなで割るかということ。
固定費と変動費は、スマホ料金に近い。毎月決まってかかる基本料金が固定費、使った分だけ増えるデータ通信料が変動費。要するに、使っても変わらないか/使うほど増えるかということ。
試験のツボ
🔴 一番出る:原価の3要素
①材料費(モノの代金)
②労務費(作る人の人件費)/経費(電気代・外注費など)
🔴 次に出る:2つの分け方は別物
①直接費/間接費 = 特定の製品にひもづけられるか
②変動費/固定費 = 作る量で増えるか
🟡 押さえると安定:直接費=変動費とは限らない
①2つの分け方は切り口が違うので、組み合わせはいろいろ
②たとえば、製品専用の機械費は「直接費かつ固定費」もありうる
よくある間違い
①「すべての経費は作る量で増える変動費だ」→ ✗ 費用には固定費と変動費がある。家賃のように量と関係なく一定の固定費もある。
②「直接費と変動費は同じ意味」→ ✗ 別の分け方。直接費にも固定費がありうるので、必ずしも一致しない。
③「間接費は特定の製品に直接ひもづく費用だ」→ ✗ 間接費は複数の製品で共通する費用。各製品に分けて割り当てる(配賦する)必要がある。
試験での出題パターン
実際の問題でたしかめてみよう。
オリジナル問題1(原価の3要素)
原価の3要素の組み合わせとして、最も適切なものはどれか。
- 直接費・間接費・固定費の3つが、製品を作るのにかかる原価の3要素であると説明している
- 資産・負債・純資産の3つが、製品を作るのにかかる原価の3要素にあたるものだと説明している
- 材料費・労務費・経費の3つが、製品を作るのにかかる原価の3要素であると説明している
- 営業活動・投資活動・財務活動の3つが、製品を作る原価の3要素にあたると説明している
解答は 3 だよ。
原価の3要素は、材料費・労務費・経費の3つだよ。モノの代金、作る人の人件費、それ以外(電気代など)、と覚えてね。
選択肢1は費用の「分け方」であって3要素ではない、選択肢2はB/Sの中身、選択肢4はC/Fの区分だね。
| 選択肢 | 判定 | 理由 |
|---|---|---|
| 1 | ✗ | 直接費・間接費などは費用の分け方 |
| 2 | ✗ | これはB/Sの構成要素 |
| 3 | ✓ | 材料費・労務費・経費で正しい |
| 4 | ✗ | これはC/Fの3区分 |
オリジナル問題2(固定費と変動費)
固定費と変動費の違いに関する次の記述のうち、最も適切なものはどれか。
- 固定費は作る量に比例して増える費用、変動費は量と関係なく一定の費用で、両者の説明が逆だと説明
- 固定費は作る量と関係なく一定の費用、変動費は作る量に比例して増える費用のことだと説明している
- 固定費も変動費も、特定の製品にすぐひもづけられるかどうかで分ける同じ分け方のことだと説明している
- 固定費も変動費も、現金の出入りを営業・投資・財務に分ける区分のことを指すものだと説明している
解答は 2 だよ。
固定費は作る量と関係なく一定(工場の家賃など)、変動費は作る量に比例して増える(材料費など)費用だよ。「作る量で増えるか」で分けるんだね。
選択肢1は固定費と変動費の説明が逆、選択肢3は直接費/間接費の分け方、選択肢4はC/Fの区分の話だね。
| 選択肢 | 判定 | 理由 |
|---|---|---|
| 1 | ✗ | 固定費と変動費の説明が逆 |
| 2 | ✓ | 固定費=一定、変動費=量に比例で正しい |
| 3 | ✗ | これは直接費/間接費の分け方 |
| 4 | ✗ | これはC/Fの区分の話 |
オリジナル問題3(直接費と変動費)
直接費と変動費の関係に関する次の記述のうち、最も適切なものはどれか。
- 直接費と変動費は別の分け方で、直接費にも作る量と関係ない固定費がありうると説明している
- 直接費と変動費はまったく同じ意味で、片方が決まればもう片方も必ず決まると説明している
- 直接費は必ず固定費になり、間接費は必ず変動費になると決まっていると言い切れると説明している
- 直接費も変動費も、ある時点の財産を表すB/Sのなかだけで使われる用語だと説明している
解答は 1 だよ。
直接費/間接費と、変動費/固定費は別の分け方だよ。だから「直接費=変動費」とは限らず、製品専用の機械費のように「直接費かつ固定費」もありうるんだ。
選択肢2は「まったく同じ意味」が誤り、選択肢3は「必ず決まる」が誤り、選択肢4はB/Sの話で別物だね。
| 選択肢 | 判定 | 理由 |
|---|---|---|
| 1 | ✓ | 別の分け方で組み合わせは様々で正しい |
| 2 | ✗ | 同じ意味ではなく別の分け方 |
| 3 | ✗ | 必ず固定・変動に決まるわけではない |
| 4 | ✗ | B/S専用の用語ではない |
まとめ
押さえどころ
- 🔴 原価の3要素 = 材料費・労務費・経費。
- 🔴 2つの分け方 = 直接費/間接費(製品にひもづくか)と、変動費/固定費(作る量で増えるか)。
- 🟡 別の分け方 = 「直接費=変動費」とは限らない。組み合わせはいろいろある。
次に学ぶ
- 財務諸表(B/S・P/L・C/F) ── 計算した原価は、P/Lの費用として利益の計算につながる。会社全体のお金の流れと合わせて押さえよう。
執筆: SikakuQuest編集部