選挙権・被選挙権とは(全体像)
選挙権・被選挙権とは、国民が政治に参加するための、いちばん基本的な権利のこと。
- 選挙権 … 代表者(議員など)を選ぶ権利。
- 被選挙権 … 自分が立候補して選ばれる権利。
憲法は、この選挙が公正に行われるよう4つの原則を置いている。
- 普通選挙 … 財産や身分で投票資格を制限しない。
- 平等選挙 … 一人一票で、票の価値も等しい。
- 秘密選挙 … だれに投票したかは秘密。
- 直接選挙 … 国民が代表者を直接選ぶ。
このうち試験で特に問われるのが、平等選挙にかかわる「一票の格差」の問題だ。
詳しく:一票の格差と外国人の選挙権をこの表で押さえる
ここが記事の心臓部。選挙権は、「一票の格差は争えるか」と「外国人に認められるか」が問われやすい。
選挙権のポイント
| 論点 | 結論 | 引っかけ |
|---|---|---|
| 4原則 | 普通・平等・秘密・直接 | どれか一つ欠けてもいけない |
| 一票の格差 | 司法審査の対象。違憲判断が出ることもある | 「政策判断だから争えない」ではない |
| 外国人の選挙権 | 国政は国民固有の権利。地方は法律で付与しうる | 「外国人に一切認められない」と言い切れない |
まず一票の格差。選挙区によって、議員一人あたりの有権者数が大きく違うと、一票の重みに差が出る。これは平等選挙に反する疑いがあり、裁判所が審査できる(司法審査の対象)。実際、最高裁が違憲(または違憲状態)と判断したこともある。「立法の裁量だから裁判では争えない」と読むのは誤りだ。
次に外国人の選挙権。国政(国会議員など)の選挙権は国民固有の権利とされ、外国人には及ばない(判例)。一方、地方の選挙については、法律で一定の外国人に付与することが憲法上禁止されているわけではない、というのが判例の考え方。国政と地方を混同しないことが大切だ。
わかりやすく言い換えると
つまり、選挙権は「政治に参加するための入場券」とイメージするとつかみやすい。入場券は財産や身分で差別せず配られ(普通選挙)、1枚の価値はみな同じ(平等選挙)であるべきだ。
要するに、選挙区ごとに1枚の重みが大きく違う(一票の格差)のは問題で、裁判所がチェックできる。「政治の話だから裁判は口を出せない」とはならない。
そして、国政の入場券は国民だけのもの(外国人には及ばない)。ただし、地方の入場券については、法律しだいで一定の外国人にも配りうる余地がある——ここを「外国人は一切ダメ」と単純化しないのがコツだ。
試験のツボ
🔴 一番出る:一票の格差は司法審査の対象
①選挙区ごとの一票の重みの差は、平等選挙にかかわる問題
②司法審査の対象で、最高裁が違憲判断を出すこともある
🔴 次に出る:外国人の選挙権
①国政の選挙権は国民固有の権利(外国人には及ばない)
②地方の選挙は、法律で一定の外国人に付与しうる余地がある(判例)
🟡 押さえると安定:選挙の4原則
①普通選挙/②平等選挙/③秘密選挙/④直接選挙
この4つがセット
よくある間違い
①「一票の格差は政策判断にすぎず、裁判では争えない」→ ✗ 司法審査の対象で、最高裁が違憲判断を出すこともある。
②「外国人には選挙権が一切認められない」→ ✗ 国政は国民固有だが、地方は法律で一定の外国人に付与しうる(判例)。
③「普通選挙とは、誰でも自由に立候補できることだ」→ ✗ 普通選挙は、財産や身分で投票資格を制限しないこと。
試験での出題パターン
実際の問題でたしかめてみよう。
オリジナル問題1(選挙の4原則)
選挙の基本原則について、正しいものはどれか。
- 普通選挙とは、投票の内容を周囲に公開して行う選挙のことをいうものとされているのである
- 平等選挙とは、財産の多い人ほど多くの票を持てる選挙のことをいうものとされている
- 秘密選挙とは、選挙の日程を国民に知らせずに行う選挙のことだとされているのである
- 普通選挙とは、財産や身分によって投票資格を制限しない選挙のことをいうものである
解答は 4 である。
普通選挙とは、財産や身分によって投票資格を制限しない選挙のことなり。選挙の4原則は、普通・平等・秘密・直接である。
選択肢1「投票内容を公開」は秘密選挙に反し誤り。選択肢2「財産が多いほど多くの票」は平等選挙に反し誤り。選択肢3「日程を知らせない」も誤りなり。
| 選択肢 | 判定 | 理由 |
|---|---|---|
| 1 | ✗ | 投票内容を公開するのは秘密選挙に反する |
| 2 | ✗ | 票の価値は等しい(平等選挙) |
| 3 | ✗ | 日程を知らせないことではない |
| 4 | ✓ | 財産・身分で資格を制限しないで正しい |
オリジナル問題2(一票の格差)
一票の格差について、判例の立場から正しいものはどれか。
- 一票の格差は単なる政策判断にすぎず、裁判所はいっさい審査できないとされているのである
- 一票の格差は平等選挙にかかわり司法審査の対象で、違憲判断が出ることもあるとされる
- 一票の格差は、どれほど大きくても当然に合憲だと最高裁は述べているのである
- 一票の格差は、国会の議決がなければ裁判で取り上げられないとされているのである
解答は 2 である。
一票の格差は平等選挙にかかわる問題で、司法審査の対象なり。最高裁が違憲(または違憲状態)と判断したこともある。
選択肢1「いっさい審査できない」、選択肢3「どれほど大きくても合憲」、選択肢4「国会の議決がなければ取り上げられない」は、いずれも司法審査の対象であることを否定する点で誤りである。
| 選択肢 | 判定 | 理由 |
|---|---|---|
| 1 | ✗ | 司法審査の対象になる |
| 2 | ✓ | 司法審査の対象で違憲判断もありうる |
| 3 | ✗ | 大きすぎる格差は違憲となりうる |
| 4 | ✗ | 国会の議決は審査の前提ではない |
オリジナル問題3(外国人の選挙権)
外国人の選挙権について、判例の立場から正しいものはどれか。
- 国政の選挙権は国民固有の権利だが、地方の選挙は法律で外国人に付与しうるとされる
- 国政も地方も、外国人にはいっさい選挙権を認める余地がないものとされているのである
- 国政の選挙権は、当然に外国人にも保障されているものとされているのである
- 地方の選挙権は、法律がなくても当然に外国人へ保障されるとされているのである
解答は 1 である。
国政の選挙権は国民固有の権利で外国人には及ばないが、地方の選挙については法律で一定の外国人に付与しうる、とするのが判例なり。
選択肢2「地方もいっさい余地がない」、選択肢3「国政も当然に外国人に保障」、選択肢4「地方は法律がなくても当然保障」は、いずれも国政と地方の区別を取り違えた誤りである。
| 選択肢 | 判定 | 理由 |
|---|---|---|
| 1 | ✓ | 国政は国民固有・地方は法律で付与しうるで正しい |
| 2 | ✗ | 地方には付与しうる余地がある |
| 3 | ✗ | 国政は国民固有の権利 |
| 4 | ✗ | 地方も法律による付与が前提 |
まとめ
押さえどころ
- 🔴 一票の格差 = 平等選挙にかかわり司法審査の対象。最高裁が違憲判断を出すこともある。
- 🔴 外国人の選挙権 = 国政は国民固有。地方は法律で一定の外国人に付与しうる(判例)。
- 🟡 選挙の4原則 = 普通/平等/秘密/直接。
次に学ぶ
- 国会の地位 ── 選挙で選ばれた議員が集う国会の位置づけ。統治機構の入り口。
- 国民主権 ── 選挙権は国民主権を実現する具体的な仕組み。
- 法の下の平等 ── 一票の格差は平等の問題でもある。あわせて理解が深まる。
執筆: SikakuQuest編集部