根抵当権とは(全体像)
根抵当権とは、「これからの取引でふくらんだり減ったりする債権を、まとめて担保する」抵当権のこと。
普通抵当権は、「この100万円の貸金」というように特定の1つの債権を担保する。だから、その債権が消えれば抵当権も消える(付従性)。
一方、根抵当権は、「この銀行取引から生じる債権」のように、範囲を決めて、不特定の債権をまとめて担保する。取引のたびに債権が生まれたり消えたりしても、根抵当権そのものは存続する。担保するのは、極度額(上限額)の範囲までだ。
このため、普通抵当権との違いが試験で問われる。
詳しく:普通抵当権との違いをこの表で押さえる
ここが記事の心臓部。根抵当権は、「付従性・随伴性の緩和」と「極度額の登記」が問われやすい。
根抵当権と普通抵当権の違い
| 論点 | 根抵当権 | 普通抵当権 |
|---|---|---|
| 担保する債権 | 一定範囲の不特定の債権 | 特定の1つの債権 |
| 付従性・随伴性 | 緩和される(債権が変動しても存続) | あり(債権が消えれば消える) |
| 極度額 | 担保の上限額。登記が必要 | — |
| 元本確定 | 確定すると普通抵当権に近づく | — |
いちばん引っかかるのが付従性・随伴性。普通抵当権は、担保する債権が消えれば抵当権も消える(付従性)。だが、根抵当権はこれが緩和され、個々の債権が生まれたり消えたりしても、根抵当権は残る。「根抵当権は普通抵当権と完全に同じ」と読むのは誤りだ。
次に極度額。根抵当権が担保するのは、極度額(上限額)の範囲まで。この極度額は登記が必要な事項だ。「極度額の登記は不要」と読むのは誤りになる。
なお、一定の事由で元本が確定すると、それ以降は新たな債権を担保せず、普通抵当権に近い扱いになる。
わかりやすく言い換えると
つまり、根抵当権は「取引のお財布に上限(極度額)をつけて、まとめて担保する」しくみとイメージするとつかみやすい。
要するに、普通抵当権が「1回の貸し借りの担保」なら、根抵当権は「継続的な取引ぜんぶの担保枠」。だから、個々の貸し借りが入れ替わっても、担保の枠(根抵当権)はそのまま残る(付従性・随伴性の緩和)。
そして、その枠の大きさが極度額で、これは登記しておく必要がある——ここが試験のポイントだ。
試験のツボ
🔴 一番出る:付従性・随伴性の緩和
①根抵当権は付従性・随伴性が緩和される
②個々の債権が変動しても、根抵当権は存続する
🔴 次に出る:極度額の登記
①根抵当権は極度額(上限額)の範囲まで担保する
②極度額は登記が必要な事項
🟡 押さえると安定:普通抵当権との違い
①普通抵当権は特定の1つの債権を担保
②根抵当権は一定範囲の不特定の債権をまとめて担保
よくある間違い
①「根抵当権は、普通抵当権と完全に同じだ」→ ✗ 付従性・随伴性が緩和され、被担保債権が変動できる点が違う。
②「根抵当権の極度額は、登記する必要がない」→ ✗ 極度額は登記が必要な事項。
③「根抵当権は、特定の1つの債権だけを担保する」→ ✗ 一定範囲の不特定の債権をまとめて担保する。
試験での出題パターン
実際の問題でたしかめてみよう。
オリジナル問題1(根抵当権の意味)
根抵当権について、正しいものはどれか。
- 根抵当権は、特定の1つの債権だけを担保する抵当権だとされているのである
- 根抵当権は、占有を移して設定する担保物権だとされているのである
- 根抵当権は、法律上当然に発生する法定担保物権だとされているのである
- 根抵当権は、不特定の債権を極度額の限度でまとめて担保する抵当権である
解答は 4 である。
根抵当権は、一定範囲の不特定の債権を、極度額の限度でまとめて担保する抵当権なのだよ。継続的な取引に向いている。
選択肢1「特定の1つの債権だけ(普通抵当権)」、選択肢2「占有を移して設定(質権)」、選択肢3「法定担保物権」は、いずれも誤りであろう。
| 選択肢 | 判定 | 理由 |
|---|---|---|
| 1 | ✗ | 特定の1つの債権は普通抵当権 |
| 2 | ✗ | 占有を移すのは質権 |
| 3 | ✗ | 合意で設定する約定の担保 |
| 4 | ✓ | 不特定の債権を極度額で担保で正しい |
オリジナル問題2(普通抵当権との違い)
根抵当権と普通抵当権の違いについて、正しいものはどれか。
- 根抵当権は普通抵当権とまったく同じ性質をもつとされているのである
- 根抵当権は付従性・随伴性が緩和され、被担保債権が変動しても存続する
- 根抵当権は普通抵当権よりも付従性が強められた性質をもつものである
- 根抵当権では、被担保債権が一つでも消えると当然に消滅するとされている
解答は 2 である。
根抵当権は付従性・随伴性が緩和され、被担保債権が変動しても存続するのだよ。
選択肢1「まったく同じ性質」、選択肢3「付従性が強められている」、選択肢4「債権が一つでも消えると消滅」は、いずれも誤りであろう。
| 選択肢 | 判定 | 理由 |
|---|---|---|
| 1 | ✗ | 付従性・随伴性が緩和される |
| 2 | ✓ | 付従性緩和・債権が変動しても存続で正しい |
| 3 | ✗ | 強められるのではなく緩和される |
| 4 | ✗ | 個別債権が消えても存続する |
オリジナル問題3(極度額の登記)
根抵当権の極度額について、正しいものはどれか。
- 極度額は、当事者の間でだけ定めればよく登記は不要だとされているのである
- 極度額には、そもそも担保の上限としての意味はないとされているのである
- 極度額は担保の上限となる金額であり、登記が必要な事項であるとされている
- 極度額は、元本が確定したあとにはじめて定めるものだとされているのである
解答は 3 である。
極度額は担保の上限額であり、登記が必要な事項なのだよ。
選択肢1「登記は不要」、選択肢2「上限としての意味はない」、選択肢4「元本確定後にはじめて定める」は、いずれも誤りであろう。
| 選択肢 | 判定 | 理由 |
|---|---|---|
| 1 | ✗ | 極度額は登記が必要 |
| 2 | ✗ | 担保の上限額という意味がある |
| 3 | ✓ | 上限額で登記が必要で正しい |
| 4 | ✗ | 設定時に定める |
まとめ
押さえどころ
- 🔴 付従性・随伴性の緩和 = 個々の債権が変動しても、根抵当権は存続する。
- 🔴 極度額の登記 = 担保の上限額(極度額)は登記が必要な事項。
- 🟡 普通抵当権との違い = 普通抵当権は特定の1債権、根抵当権は一定範囲の不特定の債権をまとめて担保。
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執筆: SikakuQuest編集部