硬性憲法とは(全体像)
硬性憲法とは、「憲法を変えるのは、普通の法律を変えるよりずっと大変」というタイプの憲法のこと。「硬い(変えにくい)」憲法、という意味だ。
なぜ変えにくくするかというと、憲法は国の土台になるルールだから。その日の多数派の都合でコロコロ変えられては困る。だから、わざと高いハードルを設けている。
対になる言葉が軟性憲法。
- 硬性憲法 … 改正に、通常の法律より厳しい特別な手続が必要。
- 軟性憲法 … 通常の法律と同じ手続で改正できる。
日本国憲法は硬性憲法。そして改正のハードルとして、発議と承認の2段階に高い要件を置いている。
詳しく:改正のハードルをこの表で押さえる
ここが記事の心臓部。硬性憲法の中身は、改正手続の数値に集約される。
日本国憲法(硬性憲法)の改正ハードル
| 段階 | 要件 | 引っかけポイント |
|---|---|---|
| 発議(国会) | 各議院の総議員の3分の2以上の賛成 | 「出席議員」ではなく「総議員」 |
| 承認(国民) | 国民投票での過半数の賛成 | 国民の承認が必須 |
| 公布 | 天皇が国民の名で公布 | 内閣ではなく天皇 |
いちばん引っかかるのが発議要件。「3分の2以上」までは覚えていても、「出席議員」と「総議員」を取り違えると間違える。正しくは総議員の3分の2以上だ。出席議員基準だと、欠席者が多い日に少数で改正できてしまい、ハードルにならない。
そして、国会だけでは決まらない。最後に国民投票で過半数の賛成を得てはじめて承認される。憲法を変える最終決定権は国民にある、という国民主権の表れだ。
わかりやすく言い換えると
つまり、硬性憲法は「特別な鍵が2つないと開かない金庫」とイメージするとつかみやすい。
1つめの鍵が国会の発議(総議員の3分の2以上)、2つめの鍵が国民投票(過半数)。どちらか片方だけでは金庫は開かない。
要するに、普通の法律という引き出しは多数決で開くが、憲法という金庫はもっと固いロックがかかっている。これが「硬性」の意味だ。軟性憲法は、この金庫が普通の引き出しと同じロックになっているイメージになる。
試験のツボ
🔴 一番出る:発議は「総議員」の3分の2以上
①各議院の総議員の3分の2以上の賛成で発議する
②「出席議員」ではない点が最大の引っかけ
🔴 次に出る:承認は国民投票の過半数
①国会の発議だけでは決まらない
②最後に国民投票で過半数の賛成が必要
🟡 押さえると安定:軟性憲法との対比
①硬性憲法=通常の法律より厳しい手続で改正
②軟性憲法=通常の法律と同じ手続で改正
よくある間違い
①「発議は出席議員の3分の2以上でよい」→ ✗ 正しくは総議員の3分の2以上。出席議員ではない。
②「国会の議決だけで憲法は改正できる」→ ✗ 国民投票での過半数の賛成も必要。国会だけでは完成しない。
③「軟性憲法は改正できない憲法のこと」→ ✗ 軟性憲法は、通常の法律と同じ手続で改正できる憲法のこと。
試験での出題パターン
実際の問題でたしかめてみよう。
オリジナル問題1(硬性憲法の意味)
硬性憲法の意味について、正しいものはどれか。
- 硬性憲法とは、通常の法律と同じ手続で簡単に改正できる憲法のことをいうものである
- 硬性憲法とは、一度制定すると将来にわたり一切改正できない憲法のことをいうものである
- 硬性憲法とは、内閣の判断だけで自由に改正できる憲法のことをいうものとされている
- 硬性憲法とは、改正に通常の法律より厳しい手続を要する憲法で、日本国憲法も該当する
解答は 4 である。
硬性憲法とは、改正に通常の法律より厳しい手続を要する憲法なり。日本国憲法もこれにあたる。
選択肢1は軟性憲法の説明で誤り。選択肢2「一切改正できない」、選択肢3「内閣の判断だけで改正できる」も誤りなり。硬性憲法は、変えにくいだけで、改正できないわけではない。
| 選択肢 | 判定 | 理由 |
|---|---|---|
| 1 | ✗ | 通常の法律と同じ手続なのは軟性憲法 |
| 2 | ✗ | 変えにくいだけで改正は可能 |
| 3 | ✗ | 内閣の判断だけでは改正できない |
| 4 | ✓ | 厳しい手続を要し日本国憲法も該当 |
オリジナル問題2(発議の要件)
憲法改正の発議に必要な賛成について、正しいものはどれか。
- 憲法改正の発議には、各議院の出席議員の3分の2以上の賛成が必要であるとされている
- 憲法改正の発議には、各議院の総議員の3分の2以上の賛成が必要であるとされている
- 憲法改正の発議には、各議院の総議員の過半数の賛成があれば足りるとされている
- 憲法改正の発議には、衆議院の総議員の3分の2以上の賛成だけで足りるとされている
解答は 2 である。
憲法改正の発議には、各議院の総議員の3分の2以上の賛成が必要なり。
選択肢1「出席議員」は最大の引っかけで誤り。正しくは総議員である。選択肢3「過半数で足りる」、選択肢4「衆議院だけ」も誤りなり。両議院それぞれで総議員の3分の2以上が要る。
| 選択肢 | 判定 | 理由 |
|---|---|---|
| 1 | ✗ | 出席議員ではなく総議員が基準 |
| 2 | ✓ | 総議員の3分の2以上で正しい |
| 3 | ✗ | 過半数では足りない |
| 4 | ✗ | 衆議院だけでなく各議院で必要 |
オリジナル問題3(改正の流れ)
憲法改正の手続の流れについて、正しいものはどれか。
- 憲法改正は、国会の発議、国民投票での過半数の賛成、天皇の公布という流れで行われる
- 憲法改正は、内閣の発議だけで成立し、国民投票や天皇の公布は不要であるとされている
- 憲法改正は、国民投票を行わず、国会の議決だけで完成するものとされているのである
- 憲法改正は、最高裁判所の承認を得てはじめて成立するものとされているのである
解答は 1 である。
憲法改正は、国会の発議 → 国民投票での過半数の賛成 → 天皇の公布、という流れで行われるなり。
選択肢2「内閣の発議だけ」、選択肢3「国民投票を行わない」、選択肢4「最高裁の承認」は、いずれも流れを取り違えた誤りである。発議は国会、承認は国民、公布は天皇なり。
| 選択肢 | 判定 | 理由 |
|---|---|---|
| 1 | ✓ | 発議・国民投票・公布の流れで正しい |
| 2 | ✗ | 国民投票と公布は欠かせない |
| 3 | ✗ | 国民投票を行わずには完成しない |
| 4 | ✗ | 最高裁の承認は手続にない |
まとめ
押さえどころ
- 🔴 発議 = 各議院の総議員の3分の2以上(「出席議員」ではない)。
- 🔴 承認 = 国民投票での過半数。国会の発議だけでは完成しない。
- 🟡 対比 = 硬性憲法は厳しい手続で改正、軟性憲法は通常の法律と同じ手続で改正。
次に学ぶ
- 憲法改正手続 ── 硬性憲法の中身である改正の3段階(発議・国民投票・公布)を、流れに沿ってくわしく押さえられる。
- 国民主権 ── 最後の承認を国民投票に委ねる理由がここにある。三大原理の一つ。
- 憲法の最高法規性 ── なぜ憲法を簡単に変えられないようにするのか、その土台になる考え方。
執筆: SikakuQuest編集部