基本的人権の尊重とは(全体像)
基本的人権の尊重とは、人が人として当然に持っている権利(基本的人権)を、国家も奪ってはならないという考え方のこと。
ポイントは、人権が「国家からもらった権利」ではないということ。人権は国家ができる前から人間にそなわっている権利で、だからこそ「侵すことのできない永久の権利(永久不可侵)」とされる。
そのうえで、試験では次の2つの角度から問われる。
- 誰に保障されるか(享有主体) … 日本国民だけでなく、外国人や会社などの法人にも、権利の性質に応じて一定範囲で保障される。
- どこまで保障されるか(限界) … 人権も無制限ではなく、他人の人権とぶつかる場面では公共の福祉による調整・制約を受ける。
詳しく:保障の「範囲」と「限界」をこの表で押さえる
ここが記事の心臓部。基本的人権の論点は、「誰に・どこまで」の2軸に集約される。
基本的人権の範囲と限界
| 論点 | 結論 | ひとことで |
|---|---|---|
| 性質 | 人間が生まれながらに持つ・永久不可侵 | 国家がくれた権利ではない |
| 外国人 | 権利の性質上可能なかぎり保障される(判例) | 全部ではないが、原則保障 |
| 法人 | 性質上可能な範囲で保障される | 会社にも一定の人権 |
| 限界 | 公共の福祉による制約を受ける | 無制限ではない |
「永久不可侵」と「公共の福祉による制約」は、一見すると矛盾して見える。だが、人権が強く守られることと、人権どうしがぶつかったときに調整が必要なことは別の話。だれかの自由が他人の権利を踏みつけてよい、とはならない。この調整役が公共の福祉だ。
わかりやすく言い換えると
つまり、基本的人権は「生まれたときから全員に配られている、取り上げられないカード」とイメージするとつかみやすい。
国家が後から配ったカードではないから、国家の都合で回収できない(永久不可侵)。外国から来た人や会社にも、種類によっては同じカードが配られている(享有主体)。
要するに、カードは強力だが「自分のカードで相手のカードを破ってよい」わけではない。みんなのカードが両立するように交通整理するのが、公共の福祉という考え方だ。
試験のツボ
🔴 一番出る:享有主体(誰に保障されるか)
①日本国民だけでなく、外国人にも権利の性質上可能なかぎり保障される(判例)
②会社などの法人にも、性質上可能な範囲で保障される
🔴 次に出る:人権の限界(公共の福祉)
①人権は永久不可侵だが、無制限ではない
②他人の人権とぶつかる場面では、公共の福祉による制約を受ける
🟡 押さえると安定:人権の性質
①人権は国家が与えたものではなく、人間が生まれながらに持つ権利
②だからこそ「侵すことのできない永久の権利」とされる
よくある間違い
①「人権は日本国民にしか保障されない」→ ✗ 外国人にも、権利の性質上可能なかぎり保障される(判例の立場)。
②「人権は永久不可侵だから一切制約されない」→ ✗ 他人の人権との調整のため、公共の福祉による制約は受ける。
③「人権は法律で定めて初めて生まれる」→ ✗ 人権は人間に生まれながらそなわる権利で、法律がなくても存在する。
試験での出題パターン
実際の問題でたしかめてみよう。
オリジナル問題1(基本的人権の性質)
基本的人権の性質について、正しいものはどれか。
- 基本的人権は国家が国民に与えた恩恵であり、必要に応じて国家が自由に取り消せるものである
- 基本的人権は選挙権を持つ成人にだけ認められ、未成年者には一切保障されないものである
- 基本的人権は人間が生まれながらに持つ権利で、国家権力も侵せない永久不可侵の権利である
- 基本的人権は法律で定めて初めて発生する権利で、法律がなければ存在しないものである
解答は 3 である。
基本的人権は、人間が生まれながらに持つ権利にして、国家権力も侵せない永久不可侵の権利なり。国家が恵んで与えたものではない、というのが出発点である。
選択肢1は「国家が取り消せる」、選択肢4は「法律がなければ存在しない」とする点が誤り。人権は法律以前の権利なり。選択肢2の「成人だけ」も誤りで、未成年者にも人権はそなわる。
| 選択肢 | 判定 | 理由 |
|---|---|---|
| 1 | ✗ | 国家が与えた恩恵ではなく、取り消せない |
| 2 | ✗ | 未成年者にも人権は保障される |
| 3 | ✓ | 生まれながらの永久不可侵の権利で正しい |
| 4 | ✗ | 法律がなくても人権は存在する |
オリジナル問題2(人権の享有主体)
人権の保障される対象(享有主体)について、正しいものはどれか。
- 基本的人権は外国人にも、権利の性質上可能なかぎり保障されるとするのが判例の立場である
- 基本的人権は日本国籍を持つ人だけに保障され、外国人には全く保障されないものとされる
- 基本的人権は会社などの法人には一切認められず、自然人にのみ保障されるものとされている
- 基本的人権は外国人に保障される場合でも、日本国民とまったく同じ範囲で保障されるとされる
解答は 1 である。
人権は外国人にも、権利の性質上可能なかぎり保障される、とするのが判例の立場なり。会社などの法人にも、性質上可能な範囲で保障される。
選択肢2「外国人には全く保障されない」、選択肢3「法人には一切認められない」は誤り。選択肢4「日本国民とまったく同じ範囲」も誤りで、保障の範囲は権利の性質によって変わるなり。
| 選択肢 | 判定 | 理由 |
|---|---|---|
| 1 | ✓ | 外国人にも性質上可能なかぎり保障される |
| 2 | ✗ | 外国人にも一定範囲で保障される |
| 3 | ✗ | 法人にも性質上可能な範囲で保障される |
| 4 | ✗ | 保障の範囲は性質により異なる |
オリジナル問題3(人権の限界)
基本的人権の限界について、正しいものはどれか。
- 基本的人権は永久不可侵なので、どんな場合でも法律で制限することは一切許されないとされる
- 基本的人権は公共の福祉とは無関係で、他人の人権とぶつかっても調整されないものとされる
- 基本的人権のうち精神的自由だけは、公共の福祉によってまったく制約されないものとされる
- 基本的人権も決して無制約ではなく、他者の人権との調整のため公共の福祉による制約を受ける
解答は 4 である。
人権は強く守られるが、決して無制約ではないなり。他者の人権とぶつかる場面では、公共の福祉による調整・制約を受ける。
選択肢1「一切制限されない」は誤りで、調整のための制約はある。選択肢2「公共の福祉と無関係」、選択肢3「精神的自由だけはまったく制約されない」も誤りなり。人権どうしの両立をはかるのが公共の福祉である。
| 選択肢 | 判定 | 理由 |
|---|---|---|
| 1 | ✗ | 調整のための制約は受ける |
| 2 | ✗ | 公共の福祉による調整を受ける |
| 3 | ✗ | 精神的自由も公共の福祉と無縁ではない |
| 4 | ✓ | 公共の福祉による制約を受けるで正しい |
まとめ
押さえどころ
- 🔴 享有主体 = 外国人にも性質上可能なかぎり保障(判例)、法人にも一定範囲で保障。
- 🔴 限界 = 人権も無制約ではなく、公共の福祉による制約を受ける。
- 🟡 性質 = 人権は国家が与えたものではなく、生まれながらの永久不可侵の権利。
次に学ぶ
- 国民主権 ── 三大原理の一つ。「誰が国を動かすか」の答えで、基本的人権の尊重と並ぶ柱。セットで憲法の土台が見える。
- 公共の福祉 ── 人権どうしがぶつかったときの調整役。人権の「限界」を理解するカギになる考え方。
- 法の下の平等 ── 人権保障の中でも特に出題が多いテーマ。等しく扱うとはどういうことか、を掘り下げる。
執筆: SikakuQuest編集部