結論——働きながらでも、合格できる
まず、いちばん気になるところから。働きながらでも、行政書士の合格は十分にねらえます。
それどころか、行政書士の受験者は、社会人が中心です。仕事をしながら、家のことをしながら、自分の生活のなかに勉強を組み込んで合格していく。それが、この資格のごくふつうの姿なんです。
もちろん、楽だとは言いません。まとまった勉強時間が取りにくいのは事実です。でも、「学生のように一日中勉強できないから無理」ということは、まったくありません。
実は、まとまった時間が取れないことは、必ずしも不利ばかりではありません。短い時間に区切って学ぶほうが、かえって集中力が保ちやすいという面もあるからです。「忙しいから無理」と思い込む前に、忙しい人には忙しい人なりの戦い方がある、と知っておいてください。
正直なところ、社会人の合格を分けるのは、才能でも、がむしゃらな頑張りでもないと感じます。分けるのは、「続けられる仕組みを持っているかどうか」。逆に言えば、その仕組みさえ作れれば、忙しさは越えられる壁なんです。
では、社会人が直面しやすい壁から、順に見ていきましょう。
社会人がぶつかる、三つの壁
働きながらの勉強には、社会人ならではの壁があります。先に正体を知っておけば、対策も立てやすくなります。
ひとつ目は、「まとまった時間がない」という壁。仕事から帰れば夜、休日は休日で用事がある。机に向かう二時間を確保するのは、思った以上に難しいものです。
ふたつ目は、「疲れて気力が残らない」という壁。時間があっても、頭も体も疲れていて、テキストを開く気になれない。これは、誰にでも起こることです。
みっつ目は、「モチベーションの波」という壁。やる気のある日もあれば、まったく乗らない日もある。その波に振り回されると、勉強がぷつりと途切れてしまいます。
この三つに共通するのは、どれも「気力でなんとかしよう」とすると負けやすい、ということ。だからこそ、気力に頼らない仕組みが要るんです。次の章で、その中心になる考え方を紹介します。
鍵は「if-thenプランニング」
働きながらの勉強を支える、いちばんの仕掛け。それが「if-thenプランニング」です。
難しそうな名前ですが、中身はとてもシンプル。「もし○○したら、△△する」と、行動をあらかじめ決めておくだけです。
たとえば、「電車に乗ったら、アプリで問題を5問解く」「歯を磨いたら、テキストを1ページ読む」。こんなふうに、すでにある習慣に、勉強をくっつけてしまうんです。
なぜ、これが効くのか。わかりやすく言い換えると、「いつやるか」を毎回考えなくて済むからです。人は、迷っているあいだに気力をすり減らします。最初から「このときにやる」と決まっていれば、迷う隙がない。だから続くんです。
「もし○○したら、△△する」——きっかけは、すでに毎日やっていることにくくりつけよ。通勤、昼休み、就寝前。生活の動線に勉強を埋め込む者が、気力の枯れた日も歩みを止めぬのである。
最初は、小さくていい。むしろ小さいほどいい。「5問だけ」「1ページだけ」。そのくらいなら、疲れていてもこなせます。続けるうちに、それが当たり前になっていきます。
スキマ時間を、味方につける
社会人の最大の資源は、実は「スキマ時間」です。まとまった二時間は作れなくても、5分、10分の細切れなら、一日のあちこちに転がっています。
通勤の電車、昼休みの後半、コーヒーを淹れるあいだ、寝る前の布団のなか。こうした細切れを足していくと、意外なほどの時間になります。
たとえば、一日のうちに5分のスキマが6回あれば、合わせて30分。これを毎日続ければ、一週間で3時間半になります。まとめて取ろうとすると重く感じる時間も、細切れなら、気づかないうちに積み上がっていくんです。
しかも、細切れの勉強には、うれしいおまけがあります。少し時間をあけて何度も触れるほうが、一気に詰め込むより記憶に残りやすい、という性質です。つまり、スキマ時間の分散学習は、忙しさへの対処であると同時に、理にかなった覚え方でもあるんです。
たとえば、行政法の行政裁量のような論点も、通勤中に問題を1問。昼に解説を読み返す。夜にもう1問。こうして一日に何度も顔を合わせるうちに、知識は静かに定着していきます。民法の権利能力のような基本概念も、同じやり方が効きます。
ポイントは、スキマ時間用の「すぐ始められる教材」を手元に置いておくこと。分厚いテキストは開くのに気合がいりますが、スマホのアプリなら、信号待ちの数十秒でも一問解けます。
一日の組み立て方——無理のない型
「仕組みが大事」と分かっても、具体的にどう一日を組むか、迷いますよね。そこで、無理のない型を、ひとつの例として紹介します。
朝、通勤の電車で、アプリの問題を数問。昼休みの終わりに、間違えたところの解説を読む。そして夜、寝る前にテキストを少しだけ。これで、まとまった机の時間がなくても、一日に三回、勉強に触れたことになります。
大事なのは、一回一回を重くしないこと。「朝は5問」「夜は10分」と軽く決めておけば、疲れた日でもこなせます。逆に、最初から「毎日二時間」と決めると、できなかった日に自己嫌悪が生まれ、それが挫折の入り口になります。
そして、休日は平日の取りこぼしを拾う日にあてる。平日に進めた範囲を、休日にまとめて見直す。こうすると、平日は無理なく、休日に厚く、というメリハリがつきます。
もちろん、この型はあくまで一例です。朝が弱い人は夜に寄せる、通勤がない人は昼休みを厚くする。自分の生活リズムに合わせて、置き場所を入れ替えてください。大事なのは形をそっくりまねることではなく、自分の一日のなかに、勉強の居場所をひとつ作ることです。
やる気の波は、あって当たり前
働きながら勉強していると、やる気のある日とない日の差に、戸惑うことがあります。でも、これはあなたの意志が弱いからではありません。人のやる気は、もともと波打つもの。そう知っておくだけで、ずいぶん気持ちが楽になります。
大事なのは、やる気の出ない日をどう乗り切るか、です。ここで効くのが、やはり仕組み。やる気がゼロでも、「電車に乗ったら5問」が習慣になっていれば、体のほうが先に動いてくれます。要するに、やる気の有無に関係なく回る仕掛けを、先に作っておくということです。
そして、やる気のある日は、その勢いを借りて少し多めに進めておく。やる気の出ない日は、最低限だけでよしとする。波を無理にならそうとするのではなく、波に逆らわず乗りこなす。そんな柔らかさが、長い受験勉強を支えてくれます。
うまくいかない日があっても、自分を責めないでください。一日できなかったくらいで、これまでの積み重ねが消えるわけではありません。次の日にまた一問解けば、それで十分。続けるとは、完璧であり続けることではなく、何度でも戻ってくることなんです。
続けるための、小さな約束ごと
最後に、社会人が挫折しないための、小さな約束ごとを。
ひとつは、「ゼロの日を作らない」こと。どんなに疲れていても、一問だけは解く。一行だけは読む。量より、途切れさせないことを優先します。一度途切れると、再開には大きな気力が要るからです。一問でも続けていれば、習慣の糸はつながったままです。
もうひとつは、「完璧をあきらめる」こと。社会人は時間が限られています。すべてを完璧に理解しようとすると、必ず時間が足りなくなります。だから、最初は7割の理解で先へ進む。繰り返すうちに、残りの3割が埋まっていきます。
そして、忘れてほしくないのが、仕事の経験そのものが武器になるということ。行政書士が扱うのは、許認可や契約といった、社会の実務に直結する知識です。働いて世の中の仕組みに触れてきた人ほど、たとえば公定力のような行政法の考え方も、「ああ、あの手続きの話か」と腹に落ちやすい。社会人であることは、ハンデではなく、むしろアドバンテージなんです。
個人的には、働きながらの勉強で身につくのは、知識だけではないと思っています。限られた時間をやりくりし、続ける仕組みを自分で作る。その力は、合格した後、実務の現場でもそのまま生きてきます。
理解度チェック
ここまでの内容、どれくらい身についたかチェックしてみよう。
働きながら合格するための考え方として、正しいものはどれか。
- 毎日まとまった時間を必ず確保しないと無理だ
- 気力を奮い立たせることが何よりも重要になる
- 気力でなく続く仕組みを先に作ることが鍵だ
- 学生のように一日中やらないと受からない
解答は 3 である。
働きながらの勝負を分けるのは、才能でもがむしゃらさでもない。つまり、気力に頼らず続けられる仕組みを持てるかどうかなのだ。
| 選択肢 | 判定 | 理由 |
|---|---|---|
| 1 | ✗ 誤り | 細切れ時間でも合格できる |
| 2 | ✗ 誤り | 気力頼みは続きにくい |
| 3 | ✓ 正解 | 続く仕組みを先に作る |
| 4 | ✗ 誤り | 一日中の勉強は不要 |
要するに、忙しさは仕組みで越えられる壁なのである。
if-thenプランニングの説明として、正しいものはどれか。
- もし○○したら△△する、と行動を先に決める
- やる気が出るまで勉強を待つ方法だ
- 一日の予定を分単位で細かく管理していく技術だ
- 苦手分野だけを後回しにする割り切りである
解答は 1 である。
if-thenプランニングとは、きっかけと行動を結びつけておく工夫。わかりやすく言い換えると、「電車に乗ったら問題を解く」と先に決めておくことなのだ。
| 選択肢 | 判定 | 理由 |
|---|---|---|
| 1 | ✓ 正解 | きっかけと行動を結ぶ |
| 2 | ✗ 誤り | やる気を待つ方法ではない |
| 3 | ✗ 誤り | 分単位の管理術ではない |
| 4 | ✗ 誤り | 後回しの割り切りではない |
つまり、迷う隙をなくすから、気力に頼らず続くのである。
働きながら続けるコツとして、正しいものはどれか。
- 疲れた日は思いきって完全に休むのがよい
- 疲れた日も一問だけ解いて途切れさせない
- 完璧に理解できるまで先へ進んではいけない
- 平日に毎日二時間を必ず確保するべきだ
解答は 2 である。
続けるコツは、量より途切れさせないこと。つまり、どんなに疲れても一問だけは解き、習慣の糸を切らさないことが大切なのだ。
| 選択肢 | 判定 | 理由 |
|---|---|---|
| 1 | ✗ 誤り | ゼロの日が再開を重くする |
| 2 | ✓ 正解 | 一問で習慣をつなぐ |
| 3 | ✗ 誤り | 7割で先に進んでよい |
| 4 | ✗ 誤り | 二時間の固定は続きにくい |
要するに、小さくても絶やさないことが、社会人の王道なのである。
「働きながらでも、ちゃんと戦える」と感じてもらえたなら、編集部としてはとても嬉しいです。
大切なのは、気力をふりしぼることではなく、続く仕組みを先に作ること。「電車に乗ったら5問」のような小さな約束を、生活のなかに埋め込む。ゼロの日を作らず、完璧を求めすぎない。完璧な準備を待つより、まずは今日、帰りの電車で一問解いてみる。その小さな一歩が、いちばん確かなスタートになります。
その「スキマ時間の一問」に、4択で解けるシカクエのアプリも選択肢の一つです。通勤の途中でも昼休みでも、5分から触れられます。
もちろん、市販のテキストや問題集を持ち歩いて進めるのも、まったく問題ありません。
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