短期退職手当等とは?|FP3級で押さえる本質をシンプルに解説

公開: 更新: カテゴリ: 法改正時事

30秒で結論

TL;DR(30秒で結論)

短期退職手当等とは(全体像)

退職金は、退職所得として他の所得と分けて課税される。計算は次の形である。

(収入金額 − 退職所得控除額)× 2分の1

この「2分の1」が退職金の税の軽さを支えている。ところが、短い期間だけ勤めて多額の退職金を受け取る形が問題になり、勤続年数5年以下の場合に制限が入った。

これが短期退職手当等である。令和4年1月1日以後に支払うべき退職手当等から適用される。

詳しく:300万円で線が引かれる

数字が2つ出てくるので、どこで線が引かれるかを押さえるのがこの論点の要である。

短期退職手当等のキホン

項目内容
対象になる人勤続年数5年以下(役員等以外)
適用時期令和4年1月1日以後に支払うべき退職手当等
300万円以下の部分2分の1を掛ける(これまでどおり)
300万円を超える部分2分の1課税が使えない(そのまま退職所得になる)
役員等で5年以下特定役員退職手当等。300万円の枠もなく全額
退職所得控除(20年以下)40万円×勤続年数(最低80万円)
退職所得控除(20年超)800万円+70万円×(勤続年数−20年)

つまり、5年以下かどうかで入口が決まり、300万円を超えるかどうかで2分の1が使えるかが決まる。

わかりやすく言い換えると

要するに、「短く勤めて多くもらう形」に上限を付けた改正である。

勤続5年以下でも、退職所得控除を引いた残りが300万円までなら、これまでどおり2分の1になる。300万円を超えた部分だけが、2分の1なしで課税される。

役員等の場合はもっと厳しく、300万円の枠そのものがない。控除を引いた残りが、そのまま退職所得になる。


試験のツボ

よくある間違い

試験での出題パターン

オリジナル問題1(2分の1が使えない部分)

📝 オリジナル問題 1 300万円の線

短期退職手当等の計算に関する記述のうち、正しいものはどれか。

  1. 控除後の残額のうち500万円を超える部分は2分の1が使えない
  2. 控除後の残額のうち300万円を超える部分は2分の1が使えない
  3. 控除後の残額のうち100万円を超える部分は2分の1が使えない
  4. 控除後の残額については金額を問わず2分の1が使えなくなる
マネケンジャ
マネケンジャ 解答・解説

解答は 2 である。

退職所得控除額を引いた残額のうち、300万円を超える部分について2分の1課税が使えないのである。

裏を返せば、300万円以下の部分はこれまでどおり2分の1である。全部が使えなくなるわけではないところが、この論点の急所である。

選択肢判定理由
1500万円という線はない
2300万円を超える部分が対象
3100万円という線はない
4300万円以下は2分の1が使える

オリジナル問題2(対象になる勤続年数)

📝 オリジナル問題 2 短期退職手当等の勤続年数

短期退職手当等の対象となる勤続年数に関する記述のうち、正しいものはどれか。

  1. 勤続年数が10年以下である者に支払われる退職手当等が対象だ
  2. 勤続年数が20年以下である者に支払われる退職手当等が対象だ
  3. 勤続年数が3年以下である者に支払われる退職手当等が対象となる
  4. 勤続年数が5年以下である者に支払われる退職手当等が対象となる
インスキメ
インスキメ 解答・解説

解答は 4 だよ。

対象は勤続年数5年以下だよ。役員等以外の人についての話だね。

20年という数字も退職所得の計算に出てくるけれど、そちらは退職所得控除額の計算の区切りだよ。20年以下は40万円×勤続年数、20年超は800万円+70万円×(勤続年数−20年)。別の場面の数字だから、混ぜないようにしよう。

選択肢判定理由
110年という区切りではない
220年は退職所得控除の区切り
33年という区切りではない
4勤続年数5年以下が対象

オリジナル問題3(役員等の場合)

📝 オリジナル問題 3 特定役員退職手当等との違い

役員等で勤続年数5年以下の場合の扱いに関する記述のうち、正しいものはどれか。

  1. 役員等の場合も300万円までは2分の1を掛けることができる
  2. 役員等の場合は500万円までなら2分の1を掛けてよいとされる
  3. 役員等の場合は300万円の枠がなく全額が退職所得の金額になる
  4. 役員等の場合は退職所得控除額そのものが使えないとされている
プランリス
プランリス 解答・解説

解答は 3 だっ。

役員等で勤続年数5年以下の場合は特定役員退職手当等といって、300万円の枠がなく、退職所得控除を引いた残額がそのまま退職所得になるんだっ。

退職所得控除そのものは使えるから、選択肢4は誤りだよっ。使えないのは2分の1のほうなんだっ。

選択肢判定理由
1役員等に300万円の枠はない
2500万円という枠もない
3枠がなく全額が退職所得
4退職所得控除は使える

まとめ

押さえどころ

見る順番は2つである。まず勤続年数が5年以下か、次に控除後の残額が300万円を超えるか。超えた部分だけが2分の1なしになる。

そこに「役員等には300万円の枠がない」を足せば、この論点は形になる。適用は令和4年1月1日以後に支払うべきものからである。

次に学ぶ

退職所得は、退職所得の受給に関する申告書を出しているかどうかで源泉徴収の形が変わる。出していれば適正な税額が源泉徴収されて課税関係が終わり、出していないと収入金額の20.42%が源泉徴収される。計算の話とあわせて確認しておきたい。

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