FP3級は、お金の「入門」にあたる国家資格
FP3級の正式な名前は、3級ファイナンシャル・プランニング技能検定といいます。国家検定なので、合格すると「3級ファイナンシャル・プランニング技能士」と名乗れます。この名乗りは法律で守られていて、受かっていない人が名乗ることはできません。
FPが扱うのは、暮らしのお金ぜんぶです。家計、保険、年金、税金、住宅ローン、投資、そして相続。ばらばらに見えるこれらを、ひとつの地図として学べるのがこの資格の面白いところです。
そのなかで3級は、いちばん最初の段 にあたります。専門家として仕事にする段ではなく、「お金の話を、こわがらずに読めるようになる」段。だから、金融の仕事をしていない人がたくさん受けています。
3級で学ぶ6つの分野——ばらばらに見えて、つながっている
FP3級で扱う範囲は、6つの分野に分かれています。名前だけ並べると多く見えますが、どれも「自分の生活で一度は出会うもの」ばかりです。
| 分野 | ざっくり言うと | 生活で出会う場面 |
|---|---|---|
| ライフプランニングと資金計画 | 人生のお金の見取り図 | 教育資金・住宅資金・老後の準備 |
| リスク管理 | 保険のしくみ | 保険の見直し、入りすぎ・不足の判断 |
| 金融資産運用 | ふやす手段の基礎 | 預金・投資信託・NISAの理解 |
| タックスプランニング | 税金の基本 | 年末調整、確定申告、控除 |
| 不動産 | 土地建物のルール | 家を買う・貸す・売る |
| 相続・事業承継 | 引き継ぐときの決まり | 親の相続、遺言、贈与 |
この6つは独立しているようで、実は互いにつながっています。たとえば家を買う場面では、不動産の知識だけでなく、住宅ローン(ライフプランニング)、住宅ローン控除(タックス)、団体信用生命保険(リスク管理)が一度に登場します。
6分野を「6教科」と考えると重く感じます。「自分の人生に起きる場面が6つある」と考えると、急に身近になります。学ぶ順番も、自分に近い分野からで構いません。
誰が受けているのか——資格の仕事に就いていない人が多い
FP3級には、受験資格に厳しい制限がありません。学歴も実務経験も問われないため、受験者の顔ぶれはとても幅広いです。
金融機関や保険会社で働く人が、業務のために受ける。不動産の会社で、住宅ローンの相談に厚みを持たせるために受ける。ここまでは想像しやすいと思います。
ただ実際には、仕事とは関係なく受ける人がかなりの割合を占めます。家計を預かる立場の人が、保険や教育費の判断に迷わないために。就職を控えた学生が、お金の教養として。定年が見えてきた人が、年金と相続の見通しを立てるために。
つまりFP3級は、「その資格で食べていくため」ではない動機で受けても、まったく違和感のない資格 です。ここが、他の国家資格と少し違うところだと思います。
学科と実技、2つに分かれている
FP3級の試験は、学科 と 実技 の二本立てです。名前だけ見ると実技のほうが身構えますが、心配は要りません。
| 学科 | 実技 | |
|---|---|---|
| 何を見るか | 知識そのもの | 知識を場面にあてはめる力 |
| 問題の形 | 正誤の判断と、選択肢から選ぶ形式 | 資料を読んで答える形式 |
| よくある誤解 | — | 面接や実演があると思われがち |
実技といっても、誰かの前で話したり、実演したりするわけではありません。紙(画面)の上で、資料を読んで答える形式です。ここを知らずに敬遠している人が、けっこういます。
学科と実技は、別々に合否が出ます。両方に受かって合格です。片方だけ受かった場合は、次回にもう片方だけを受け直せる仕組みがあります。「一発ですべて完璧に」でなくてよい、という点は、続けるうえで大きな安心材料になります。
合格ラインは「6割」——人と競う試験ではない
FP3級でいちばん覚えておいてほしいのが、合格基準がおよそ6割 だということです。
これは、上位何%が受かるという相対評価ではありません。決められた点数に届けば、全員が受かります。隣の受験者はライバルではない——この一点を知っているだけで、勉強の気持ちがずいぶん変わります。
そして6割ということは、4割は間違えてよい ということでもあります。全分野を完璧に仕上げる必要はなく、苦手な分野が1つ2つあっても、他で取れていれば届きます。
満点を目指す勉強と、6割を確実に取る勉強は、やり方が違います。前者は隅々まで均等に、後者はよく出るところから厚く。3級で必要なのは後者です。
実施団体が2つある——ここだけ最初に整理しておく
FP技能検定は、日本FP協会 と 金融財政事情研究会(きんざい) という2つの団体が実施しています。ここが、初めての人がいちばん戸惑うところです。
とはいえ、押さえるべきことは単純です。
- 学科は共通。どちらで申し込んでも同じ内容です
- 実技だけ、選べる科目が違います
- どちらで受かっても、同じ「3級FP技能士」になります
つまり「どちらが上」ということはありません。実技で扱う題材の好みで選べばよく、迷ったら受験案内で問題例を見比べて、読みやすいと感じたほうを選べば十分です。
どれくらい準備すれば届くのか
よく聞かれるのが、勉強時間です。目安としては、数十時間 というのが一般的な感覚で、まったくの初学者でも、1日1時間を1〜2か月ほど積めば射程に入ります。
ただ、これは人によって幅が出ます。金融や保険の仕事をしている人は既に知っていることが多く、逆に数字を見るのが苦手な人は、慣れるまでに少し時間がかかります。大事なのは総量より、途切れないことです。
申し込みから合格までの流れ
全体の流れは、次のようになります。
- 受験する団体を決める(実技の科目を選ぶ)
- 受験者用のページを作り、日時と会場を予約する
- 受験料を払い、申し込みを確定させる
- 当日、会場のパソコンで受験する
- 結果を確認し、合格していれば合格証書を受け取る
以前は年に数回の決まった日に、紙で受ける形でした。今はパソコンで受けるCBT方式へと移行が進み、自分の都合に合う日時を選びやすくなっています。この変化は、働きながら受ける人にとって大きな追い風です。
試験日・受験料・申込期間は、年度によって変わります。この記事では固定の数字を書きません。申し込む前に、受験する団体の公式ページで必ず最新のものを確認してください。
3級のあと、どこへ進めるか
3級に受かったあとの道は、大きく3つです。
そのまま暮らしに使う。 保険の見直し、住宅ローンの比較、年金の見通し。学んだことは、その日から自分の家計に効きます。ここで止めても、まったく無駄になりません。
2級へ進む。 実務で名乗るなら2級からが本命です。3級の内容がそのまま土台になるので、続けて受ける人は多いです。
別の資格と組み合わせる。 不動産なら宅建、経理なら簿記。お金の地図を持っていると、隣の分野が読みやすくなります。
この記事のあと、どこから読むか
全体像がつかめたら、気になるところから深く見ていってください。
- 難易度が気になる → 合格率の読み方と、つまずきやすい分野
- 時間が取れるか不安 → 勉強時間の目安と、働きながらの進め方
- どちらの団体で受けるか迷う → 日本FP協会ときんざいの選び方
- 費用を知りたい → 受験料と教材費のトータル
- 独学でいけるか → 独学と通信講座の分かれ目
理解度チェック
ここまでの内容を、軽く確かめてみましょう。
FP3級の合格の決まり方として、正しいものはどれか。
- 受験者のうち上位の一定割合だけが合格する
- 学科と実技のそれぞれで、原則6割の正答で合格する
- 学科と実技の合計点で判定され、片方だけの合格はない
- 面接での受け答えが合否を最終的に決める
解答は 2 じゃ。
FP3級は学科・実技のそれぞれで、原則6割の正答が基準になる。基準に届いた人は全員受かる仕組みで、席の奪い合いではないのじゃ。
| 選択肢 | 判定 | 理由 |
|---|---|---|
| 1 | ✗ 誤り | 上位何%という相対評価ではない |
| 2 | ✓ 正解 | それぞれ原則6割で合格する |
| 3 | ✗ 誤り | 学科と実技は別々に合否が出る |
| 4 | ✗ 誤り | 面接で決まる試験ではない |
片方だけ受かったときは、次回にもう片方だけを受け直せるのじゃ。
FP3級の「実技」について、正しい説明はどれか。
- 面接官の前で、顧客役に提案を行う試験である
- 計算機を使わずに暗算だけで解く試験である
- 資料を読み取って答える、筆記・画面上の試験である
- 実務経験が2年以上ないと受けられない試験である
解答は 3 じゃ。
「実技」という名前から実演を想像しがちじゃが、実際は資料を読んで答える形式。人前で話す場面はないのじゃ。
| 選択肢 | 判定 | 理由 |
|---|---|---|
| 1 | ✗ 誤り | 面接や実演はない |
| 2 | ✗ 誤り | 暗算限定という決まりはない |
| 3 | ✓ 正解 | 資料を読んで答える形式 |
| 4 | ✗ 誤り | 実務経験は問われない |
名前の印象だけで遠ざけている人が多い、もったいない誤解じゃな。
FP技能検定の実施団体について、正しいものはどれか。
- 団体によって、合格後に名乗れる資格の名前が変わる
- 学科は共通で、実技で選べる科目に違いがある
- どちらか一方でしか、3級を受けることができない
- 団体ごとに合格基準の割合が大きく異なる
解答は 2 じゃ。
学科はどちらでも同じ内容。違うのは実技で選べる科目で、受かったあとに名乗る資格は同じなのじゃ。
| 選択肢 | 判定 | 理由 |
|---|---|---|
| 1 | ✗ 誤り | 同じ「3級FP技能士」になる |
| 2 | ✓ 正解 | 学科は共通、実技の科目が違う |
| 3 | ✗ 誤り | どちらでも3級を受けられる |
| 4 | ✗ 誤り | 基準の考え方は変わらない |
迷ったら、実技の問題例を見比べて読みやすいほうを選べばよいのじゃ。
FP3級は、暮らしのお金をひととおり学べる国家資格の入門段。学科と実技の二本立てで、合格ラインはおよそ6割。人と競う試験ではなく、準備した人が届く試験です。実施団体は2つありますが、どちらで受かっても同じ資格。最初の一歩としては、ちょうどよい重さの試験だと言えます。